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「骨」

contents

デザインの根幹は製品の骨格にある。そう考えた、デザインとエンジニアリングの視点を持つプロダクトデザイナーの山中俊治が「骨」をテーマに企画。優美な外観と見事に連携した生物の骨や既存の工業製品などの骨をあらわにする「標本室」と「未来の骨」を探るべくつくられた作品を紹介する「実験室」によって構成された。
会期 2009年5月29日(金) - 8月30日(日)

ディレクターズ・メッセージ

過去の骨格に学び、未来の骨格をデザインする

一冊の写真集がある。漆黒の背景に浮かび上がる様々な生物の骨格。生きているときの配列が忠実に再現された白色の物体は、しなやかに連動し、伸び上がり、走り、滑空する。骨という構造体が抽出されることで、生物の持つ躍動感がいっそう強調されているかのようだ。

生物の骨格は、その優美な外観と見事に連携している。全てが一つの細胞から分化して生成されるプロセスを思えば、その関係が不可分なのも当然かもしれない。しかし人工物のそれはどうだろうか。振り返れば、骨格を隠蔽すべく見ばえを恣意的につくってきた行為こそが、デザインだったのではないかという疑念もわく。それでも、デザインの根幹はその製品の骨格にあるのではないかという期待もある。

現実には、私たちが日常的に接する道具や装置にも、ふと生物に通じる有機的な佇まいを感じることがある。自然のものに似せることを意図したわけではない、金属やプラスチックでできた工作物が、命を思わせるのはなぜだろうか。実際に工業製品の構造体を収集してみると、その問いへの答が見え隠れする。共通の目的に向かい連携するように組み上げられた部品の配列、長年の工夫の積み重ねからなる進化の痕跡。それらが完成形ではなく、これからも変わっていくことを予感させるあたりにも、生き物に通じるものがある。

では、未来の骨格はどのように変わっていくのだろうか。テクノロジーは人と人工物の新しい関わりを生み出しつつあり、デザインの自由度を広げ、時には突然変異をも誘発する。新素材の骨、高精細な骨、伝統に支えられた骨、自然に学んだ骨、情報技術に見る仮想の骨。クリエーターたちとともに、改めて「骨」と「骨格」を合言葉にデザインを行い、またそれらに触発されながら、次に私たちがつくり出すべき世界の本質を探してみたい。

山中俊治

開催概要

主催
21_21 DESIGN SIGHT、財団法人 三宅一生デザイン文化財団
後援
文化庁、経済産業省、港区
特別協賛
三井不動産株式会社
協力
株式会社アルフレックス ジャパン、キヤノンマーケティングジャパン株式会社、株式会社カッシーナ・イクスシー、株式会社DHJ B&B Italia事業部、ダイソン株式会社、株式会社ファーストシステム、KDDI株式会社、KNOLL JAPAN、ハーマンミラージャパン株式会社、株式会社ハイ・レゾリュ―ション、有限会社武蔵野園芸、株式会社日南、日本精工株式会社、日産自動車株式会社、パナソニック株式会社、セイコーインスツル株式会社、株式会社シマノ、株式会社湘南光膜研究所、多田脩二構造設計事務所、ソニー株式会社、ソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ株式会社、株式会社スパイス、株式会社テクニカル、ヤマギワ株式会社、ヤマハ株式会社、株式会社よしもとクリエイティブ・エージェンシー、由紀精密工業株式会社、千葉工業大学未来ロボット技術研究センター(fuRo)、慶應義塾大学、スタンフォード大学、東京大学総合研究博物館
展覧会ディレクター
山中俊治
企画チーム
畑中元秀、田川欣哉、鈴野浩一、禿 真哉、野村 緑、北田壮平、緒方壽人
アシスタントディレクター
檜垣万里子(リーディング・エッジ・デザイン)
空間デザイン
トラフ建築設計事務所
ナビゲーションシステム
リーディング・エッジ・デザイン
会場パネルデザイン
山野英之グラフィックデザイン
照明
マックスレイ株式会社
グラフィックデザイン
佐藤 卓
参加作家
玉屋庄兵衛、ニック・ヴィーシー、エルネスト・ネト、湯沢英治、明和電機、THA/中村勇吾、MONGOOSE STUDIO、五十嵐健夫、緒方壽人、参、takram design engineering、前田幸太郎、慶應義塾大学 山中俊治研究室、山中俊治