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動きのカガク展
映像作家・写真家の菱川勢一をディレクターに迎えて、さまざまな「動き」の表現力を観察し、構造を理解する展覧会。動きを生み出すシンプルな仕組みや人の目の錯覚を利用したもの、最先端のプログラミング技術などで動くものの不思議さ、そこから表れる情感など、多様な切り口から「動き」のメカニズムを楽しむことができた。
会期 2015年6月19日(金) - 9月27日(日)
ディレクターズ・メッセージ
この展覧会の「動き」というテーマの中には、「重力」「慣性」「波長」といった、デジタル社会においてもまだ完全に解明されていない現象への想像力を込めました。情報が溢れている現代だからこそ、自然科学だけではなく文化や経済といった人間の営みまでを「動き」という視点で横断的に捉えなおす機会になればと考えています。
その上でこの展覧会は、未来のデザイナーやアーティストである子どもや学生たちに、まるで先輩たちの作品が置いてある図工室に遊びにきたような感覚で観てもらえればと思って企画しました。ただ作品を鑑賞してもらうだけではなくて、どのようにつくられているのか、どんな仕組みになっているのかという制作の流れもオープンにすることで、「自分にもできそう」とか「自分もやってみよう」という衝動が生まれるように心がけています。
つくることは決してブラックボックスになってはいけません。ものをつくるということは一人の仕事ではなく、いろんな人がチームとして参加することで流れだす、ひとつの大きな「動き」なんだという認識が広まることを願っています。それは、展示を観に来る子どもたちだけではなくどんな仕事に就こうか考えている学生、そして既に社会で活動している大人たちにも伝えたいことです。
今日、インターネットを通じて、すぐに様々な情報や知識が手に入るようになっていますが、大事なのはそれらをどう料理して新しいものをつくるかということです。そのために一番必要となるのは難しい理論や肩書きではなく、何の役に立つかはわからないけど「つくってみたい!」と思える衝動、つまり「心が揺れ動くこと」です。僕自身、コトンコトンと音を立てながら何かが回ってるだけで面白いと感じることはきっと、将来この宇宙の仕組みが解明されそうになったときに抱くであろう感動とつながっている。そう信じています。
「動きのカガク」の作品展示に加えて開催されるワークショップやギャラリーツアーなども通して、アートとデザインの境界線を横断する様々なつくり手たちのダイナミックな「動き」をぜひ感じ取ってください。
菱川勢一
開催概要
- 主催
- 21_21 DESIGN SIGHT、公益財団法人 三宅一生デザイン文化財団
- 後援
- 文化庁、経済産業省、港区教育委員会、スイス大使館、ドイツ連邦共和国大使館
- 助成
- スイス・プロ・ヘルヴェティア文化財団
- 特別協賛
- 三井不動産株式会社
- 協力
- オリエンタルモーター株式会社、コクヨS&T株式会社、セーレン株式会社、DKSHジャパン株式会社、日本ユニシス株式会社
- 展覧会ディレクター
- 菱川勢一
- 企画協力
- ドミニク・チェン
- 学術協力
- 桐山孝司
- 制作協力
- ドローイングアンドマニュアル
- 展覧会グラフィック
- 古平正義
- 照明デザイン
- 海藤春樹
- 会場構成協力
- 宮崎晃吉(HAGI STUDIO)
- 参加作家
- アトリエオモヤ、生永麻衣+安住仁史、菅野創+やんツー、岸 遼、クワクボリョウタ、小井 仁(博報堂アイ・スタジオ/HACKist)、佐藤雅彦+ユーフラテス、ジモウン、鈴木太朗、ナリタタツヤ、パンタグラフ、ニルズ・フェルカー、藤元翔平、沼倉真理、ユークリッド(佐藤雅彦+桐山孝司)