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THE OUTLINE 見えていない輪郭
人と環境との関係に目をむけ、私たちが暗黙のうちに描く共通のイメージをかたちにする深澤直人の作品と、ものをとりまく光と空気を写し出す写真家、藤井 保の写真で構成。プロダクトデザインと人、人と生活、周囲との関係にあらためて焦点をあて、あたりまえのようで見えていない「デザインの輪郭」を浮かび上がらせた。
会期 2009年10月16日(金) - 2010年1月31日(日)
ディレクターズ・メッセージ
アウトラインとはモノの輪郭のことである。その輪郭はそのモノとそれを取り囲む周りとの境目のことでもある。そのモノを取り囲んでいるのは空気だから、そのモノの形をした空気中の穴の輪郭はそのモノの輪郭と同じである。空気はそのモノの周りに漂う雰囲気を指す比喩でもある。この空気(雰囲気)は、そのモノの周りに存在するあらゆるもの、例えば人の経験や記憶、習慣や仕草、時間や状況や音、技術や文化、歴史や流行などの要素で構成されている。それらの要素のたった一つが変わってもモノの輪郭は変わる。人はその空気の輪郭を暗黙のうちに共有している。わたしの役割はその輪郭を割り出し、そこにぶれなくはまるモノをデザインすることである。藤井さんの写真を最初に見たとき、そのはっきりとしないモノの輪郭に驚いた。しかし、考えてみればモノは空気や光に溶けているから、人には輪郭がはっきりと見えていないことに気付いた。その事実を知って感動した。藤井さんはたとえモノを撮っていても風景を撮っているんだと思った。わたしのデザインと一緒にその周りの空気を撮っている。藤井さんには、みんなが知っているけど見えていない輪郭が見えている。
深澤直人
深澤さんとの出会いは、雑誌『モダンリビング』の連載で、深澤直人デザインのプロダクトを3枚の写真で構成する企画からである。現在で22回目、隔月刊なので、約4年間そのキャッチボールは続いている。彼の書物のなかに、週末を過ごすための自作の山小屋には電気も水道もないという話がある。その不便さの中で生活をすることで本当に必要なものは何かが見えてくるという。これ程、最先端の工業製品をデザインしている人間が、その便利さと逆の環境に身を置いて思考をしている。僕は、そこから生まれた表現も言葉も信用できると思った。人には、自己否定も、自然に対しての謙虚さもまた必要なのだ。"物"は何も語らないが、実はその背後に多くの言葉や物事の真理がひそんでいる。装飾とは無縁なプロダクトの実在を前にして、僕は風景や彫刻をみるように写真を撮っている。
藤井 保
開催概要
- 主催
- 21_21 DESIGN SIGHT、財団法人 三宅一生デザイン文化財団
- 後援
- 文化庁、経済産業省、ドイツ連邦共和国大使館、イタリア大使館、港区、イタリア
- 特別協賛
- 三井不動産株式会社
- 協賛
- KDDI株式会社、株式会社KVK、株式会社 マルニ木工、株式会社 大直、パナソニック電工株式会社、SAMSUNG ELECTRONICS CO., LTD.、シヤチハタ株式会社
- 特別協力
- キヤノンマーケティングジャパン株式会社、株式会社アシェット婦人画報社
- 会場照明協力
- マックスレイ株式会社
- 協力
- Artemide S.p.A.、Artemide Japan株式会社、B&B Italia S.p.A.、Boffi、C.Josef Lamy GmbH、DANESE S.r.I.、株式会社DHJ、DKSHジャパン株式会社、driade、Magis spa、マジスジャパン株式会社、フォトビションジャパン株式会社、プラマイゼロ株式会社、株式会社良品計画、セイコーインスツル株式会社、THONET GmbH、Vitra AG、株式会社WGD京都、ヤマギワ株式会社、一般社団法人more trees
- 展覧会ディレクター
- 深澤直人、藤井 保
- グラフィックデザイン
- 副田高行