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「民藝 MINGEI -Another Kind of Art展」
開催概要

contents

ディレクター

無垢なものづくりの態度にくぎ付けになる。

芸術家でも職人でもない人の無我な手から生み出されたものには、得も言われぬ魅力が潜んでいる。

「私があの子どもたちの年齢のときには、ラファエロと同じように素描できた。けれどもあの子どもたちのように素描することを覚えるのに、私は一生かかった」と語ったパブロ・ピカソ。これは柳 宗悦に同じく、ひたむきな心が創作に与える純粋性を評した言葉だ。

96歳の現在でも意欲的に活動を続ける柚木沙弥郎(ゆのきさみろう)から「僕が求めるのは、染色家という肩書きや民藝というカテゴリーじゃない。『Another Kind of Art』なんだ」という言葉を聞いたとき、私は思わずハッとした。柳が提唱した「民藝」も、実はそのものづくりに携わる人々の生き方を示しているのではないだろうか。

実直な創作者たちは、とかくカテゴライズされることを嫌う。型にはめられそうになると、思わずそこからはみ出したくなってしまう。形式や様式にしばられない飄々とした態度。一定の仕上がりを求めない自由さが民藝にはある。

私たちは民藝を愛し、尊敬し、民藝に心を動かされる。作者が誰かとか、いつどこでつくられたのか、とかいった情報は必要ない。ただ純粋にその魅力にくぎ付けになる。「これはヤバイ」と。

深澤直人

プロフィール

深澤直人 Naoto Fukasawa

卓越した造形美とシンプルに徹したデザインで、国際的な企業のデザインを多数手がける。電子精密機器から家具、インテリアに至るまで手がけるデザインの領域は幅広く多岐に渡る。デザインのみならず、その思想や表現などには国や領域を超えて高い評価を得ている。英国王室芸術協会の称号を授与されるなど受賞歴多数。2018年、「イサム・ノグチ賞」を受賞。多摩美術大学教授。日本民藝館館長。