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ギャラリー3では、3月26日(日)まで「そばにあった未来とデザイン『わからなさの引力』展」を開催しています。本展では、言葉では説明できないけれども「なんかいい」という感覚を体感しながら、「わからなさ」に眠る価値や可能性を探ります。

テクノロジーの進化により、利便性や豊かさが高まる一方で、最近では新しさや便利さが備わっていなくても惹かれたり、好まれたりすることもあります。それらの説明しがたい魅力には、未来の豊かさに繋がる可能性があると考え、本展では「わからなさ」に着目することとなりました。

会場では、13名のデザイナーやクリエイター、美術家、研究者らがそれぞれの日常生活の中で、言葉では表しにくいけれど「なんかいい」と感じるプロダクトが展示されています。さらに、プロダクトを選んだ参加者本人と、主催のNTTドコモ、本展協力のAXIS編集部による、「なぜいいと感じるのか」を考察するキャプションも添えられており、3者の視点を紹介しています。

展示参加
伊藤亜紗、AKI INOMATA、岩佐十良、岡本健、緒方壽人、倉本仁、齋藤精一、鈴木 元、辰野しずか、田根 剛、長嶋りかこ、三宅一成、宮島達男 (五十音順・敬称略)

本展のタイトルにあるように、「わからなさ」に目を向けて、その未知なる可能性や豊かさについて、この展示を通じてぜひ探ってください。

撮影:鈴木優太

ギャラリー3では、3月12日(日)まで「With a Pen 1本のペン、1本の線。そして世界は創られる。by ZOOM」を開催しています。

1本のペンと、そこから生まれる1本の線が、世の中のさまざまな創造の源とも言える—本展は、デジタルツールが日常に溶け込んだ現在において、あらためてペンの本質的な価値に焦点を当てる展覧会です。

本展では、デザイン筆記具ブランド「ZOOM / ズーム」のプロダクトデザイナー 國府田和樹、グラフィックデザイナー 金井知広と、本展コラボレーションクリエイターで「ANATOMICA」デザイナー寺本欣児の言葉や制作プロセスを中心に展示しています。ペンで描いた1本の線から始まるドローイング、そこから起こされるデジタルの図面が3Dモデルにつながり、素材選びや試行錯誤を経てプロダクトが誕生するまでのこだわりに迫ります。

アナログツールであるペンで描くことの価値や楽しさを再発見いただけるよう、会場では、「ZOOM」ペンで来場者が作品を描くことができるほか、寺本が本展に合わせ、ペンで描いてデザインを起こしたペンケースの限定予約販売も行っています。

2023年3月3日、いよいよ企画展「The Original」が開幕します。ここでは会場の様子を写真で紹介します。

世の中に深く影響を与えるデザインを「The Original」と定義し、問いかける本展では、デザインの第一線で活躍する3名、土田貴宏、深澤直人、田代かおるによって選ばれた、家具、食器からテキスタイルや玩具など約150点のプロダクトを見ることができます。
会場内壁面のグラフィックには、写真家ゴッティンガムが本展のために撮影した展示品約50点の写真が大きくレイアウトされています。実物と合わせてそれらの写真をご覧いただくことで、肉眼とも異なった視点で各プロダクトの魅力を存分に感じ取っていただけることでしょう。また、一部のプロダクトは、実際の生活で使用する様子を体感できるよう、インテリアデザイナー吉田裕美佳のスタイリングにより部屋のように再現したインスタレーションの中で紹介されています。

本展での「The Original」は、必ずしもものづくりの歴史における「始まり」という意味ではありません。多くのデザイナーを触発するような、根源的な魅力と影響力をそなえ、そのエッセンスが後にまでつながれていくものです。

世界の流行や潮流(トレンド)に適応することではなく、目の前にあるデザインの参照点であり、すべての端緒となる「The Original」をたどること。そしてあらためて見つめなおすことは、デザインの時間を超えた文脈と、それらを生み出したデザイナーたちとのつながりをもたらすでしょう。

会場風景(ギャラリー2)
会場風景(ロビー)
会場風景(ギャラリー1)
会場風景(ギャラリー2)
会場風景(ギャラリー2)
会場風景(ギャラリー2)
会場風景(サンクンコート)
会場風景(ロビー)

撮影:木奥恵三/Photo: Keizo Kioku

企画展「クリストとジャンヌ=クロード "包まれた凱旋門"」に関連して、2022年12月16日(金)、オンライントーク「LIFE with Christo and Jeanne-Claude」を開催しました。本トークには、写真家のウルフガング・フォルツを迎え、聞き手として21_21 DESIGN SIGHT アソシエイトディレクターの川上典李子が出演しました。

フォルツは専属写真家として、クリストとジャンヌ=クロードと50年以上活動を共にしました。具体的には、クリストがドローイングを制作する際に使用する景観の写真、交渉活動や工事の記録写真、そしてプロジェクトの完成写真を担当しました。

オンライントークでは、まず二人との出会いについて振り返りました。1968年、当時写真を学ぶ学生だったフォルツは、ドイツのカッセルで開催された国際美術展 第4回ドクメンタではじめて二人の作品を見て、非常に強烈な衝撃を受けながら、その「5,600立法メートルのパッケージ」を1枚だけ写真に撮ったと話しました。その後、1971年にドイツのハウスラング美術館の展示で初めてクリスト本人に会いました。クリストに写真を撮らせてほしいと依頼し、まさか撮らせてもらえると思わなかったものの、了承してくれたので、当時から誰に対してもフレンドリーに接していることが印象に残っていると語りました。

クリストとの出会いを語る様子

この出会いを機に、二人のプロジェクトに関わり始めるようになります。クリストから直々に、第5回ドクメンタの会場にてコロラド州で行われるプロジェクトの最新情報を案内するインフォメーション・ブース係に誘われ、フォルツはプロジェクトの写真を撮るためにコロラド州へ自分を連れていくことを条件にこの仕事を引き受けました。こうしてフォルツは「ヴァレー・カーテン、コロラド州ライフル、1970–72」を見事に写真に収めることができたのです。撮影のすぐ後、突風で作品が吹き飛ばされてしまったので、写真を撮れてとても幸運だったと話しました。また、フォルツは自身を情報案内係のように、写真家以外のタスクも任せられる人材だということを二人は見極めていたのだと実感したそうです。

フォルツは「ランニング・フェンス、カリフォルニア州ソノマ郡とマリーン郡、1972–76」の実現に向けて、反対する人々に対して二人が数年にわたって誠実に説明を繰り返す姿を見てきました。その過程を経て、実現したランニング・フェンスを初めて見たときは、本当に素晴らしいと感じ、今でも一番思い出深いプロジェクトだと語りました。 また、「囲まれた島々、フロリダ州グレーター・マイアミ、ビスケーン湾、1980–83」では、写真家としての役割が新しい段階へと発展したといいます。フォルツが上空から撮影したビスケーン湾の島々の写真を、クリストはコラージュに活用したのです。準備風景や完成写真の撮影だけではなく、実現に向けた設計図でもあるアートワークの一部となったことは特別な経験でした。

「ランニング・フェンス、カリフォルニア州ソノマ郡とマリーン郡、1972–76」について語る様子

「囲まれた島々、フロリダ州グレーター・マイアミ、ビスケーン湾、1980–83」について語る様子

本展で展示されている写真の多くはフォルツによるものですが、写真家としての二人との協働に加え、布の調達や工事業者の調整役としても深く関わり、「包まれたライヒスターク、ベルリン、1971–95」、「ウォール、オーバーハウゼン、ドイツ、1998–99」、「ビッグ・エア・パッケージ、オーバーハウゼン、ドイツ、2010–13」ではプロジェクト・ディレクターを任されました。

プロジェクト・ディレクターを務めた「包まれたライヒスターク、ベルリン、1971–95」について語る様子

二人がフォルツのことを紹介するとき、写真の仕事をする人とは言わず、「プロジェクトにともに取り組む仲間」と表現していたと話しました。二人は歳を重ねても、常にワーキング・ファミリーを深く信頼し、彼らの能力を引き出していたところが他のアーティストとは異なる特徴だと感じていたようです。

Paris, June 2009, Christo and Jeanne-Claude and Wolfgang Volz/ Photo Didier Gicquel

クリストとジャンヌ=クロードとの出会いから、常に現場という近い場所にいる写真家のフォルツだからこそ見ることのできるプロジェクトの風景、思い入れのあるプロジェクトのエピソードや二人の人間性についてなど、盛りだくさんの内容となりました。

2021年にパリで実現した「包まれた凱旋門、パリ、1961–2021」では、モニターと呼ばれる約350人もの案内スタッフが作品の周辺でプロジェクトの説明などを行いました。過去のプロジェクトにおいてもクリストとジャンヌ=クロードは常に公共性を重視し、地域住民から政治家まで、その作品を取り巻く人々との話し合いを欠かさずに続けてきました。プロジェクトの準備段階で周りの理解を育むだけではなく、完成後もその作品を囲み、他者と「話し合うこと」で意見交換が生まれることを大切にしていました。

パリでのモニター(案内スタッフ)の様子
Photo: Benjamin Loyseau © 2021 Christo and Jeanne-Claude Foundation

本展でもクリストとジャンヌ=クロードのそのようなフィロソフィーを取り入れ、会場内では「展覧会スタッフ」が来場者と会話をしながら、展覧会やクリストとジャンヌ=クロードのアーティスト活動について説明を行うなど、作品と来場者の架け橋となりました。

展覧会開催前から一般公募で集まった展覧会スタッフは、アーティストや作品に関する特別なレクチャーを受けトレーニングを重ねました。そして会期中には、アーティストや作品の魅力を伝える活動や、来場者と語り合いながら会場を案内する「コミュニケーショツアー」を実施しました。それぞれのスタッフが経験を重ねながら、来場者の質問から話題を発展させたり、自分の好きな作品の前で案内をしてみたりと、展覧会の内容をより深く伝えられるよう工夫しながら取り組みました。

展覧会スタッフの案内を受けた来場者からは、「このように展覧会スタッフと話せる機会は有り難い」といった声や、「作品の内容がより深くわかりました」、「楽しく勉強になりました」といった声が寄せられました。



また、活動を終えた展覧会スタッフからは、「来場者とともに感じた内容を話し合うことで、お互いの考えを整理するようなコミュニケーションを目指して活動しました。」「いろいろな国の方と、クリストとジャンヌ=クロードの作品世界を語り合えるのは幸せなことだと感じました。」という感想があり、来場者だけではなく展覧会スタッフにとっても、発見や喜びを感じられる取り組みとなりました。

国籍や年代もさまざまな展覧会スタッフの活躍により、子どもから大人まで本展を訪れた多くの来場者に、展覧会を通してクリストとジャンヌ=クロードのプロジェクトに対する思いや、壮大な作品の魅力を多角的に伝え、ともに語り合うことができました。

夏のキッズプログラムでは高校生の展覧会スタッフも活躍しました

11月上旬、港区立南山小学校の3年生と4年生が二日間にわたって来館し、企画展「クリストとジャンヌ=クロード "包まれた凱旋門"」を見学しました。

展覧会への理解を深めるため、紙芝居を使用しながら「凱旋門の高さはどのくらい?」「布とロープはどうしてこの色を選んだの?」などのクイズを盛り込んだガイドツアーを行いました。

児童の皆さんにとっては初めての美術館鑑賞となったようですが、非常に熱心に話を聞き、クイズに参加し、映像作品に見入る様子が印象的でした。後日先生からは「クリストとジャンヌ=クロードの『夢を叶えたい』という情熱と、その想いに賛同し作品に関わった方達の輝くような表情から、生き方そのものを学ぶことができた」との感想が届きました。

今回の見学が、今後の美術鑑賞のきっかけとなることを願っています。



2022年11月3日(木)、企画展「クリストとジャンヌ=クロード "包まれた凱旋門"」の関連プログラムとして、ワークショップ「包まれたほにゃらら」を開催しました。

何かを包むことで新しい造形をつくり出し、いろいろな視点で「包む」ことを考えるワークショップです。 本展のグラフィックデザインを手がけた野間真吾を講師に迎え、作品をつくる様子と完成した作品を撮影して、オリジナルの小さなポスターを制作しました。

ワークショップでは、まずはじめにジュニアガイドを使いながら、クリストとジャンヌ=クロードと彼らのプロジェクトについて紹介。凱旋門を包む様子の映像と、実際にプロジェクトで使われたものと同じ布とロープの展示を鑑賞しました。

ギャラリー2にて、ジュニアガイドを活用したガイドの様子

つぎに、クリストの初期の作品について紹介。 クリストは初めから景観を変えるような大きなプロジェクトに取り組んだのではなく、初期には空き缶や椅子、道路標識や車など身の回りのものを包んだ作品を手がけていたことを紹介し、ワークショップでの制作のヒントを示しました。

制作を開始する前に、講師の野間から、私たちの生活に身近な「包む」ことについてレクチャーがあり、子どもたちは真剣に「包む」ことを考え始めました。

野間による「包むこと」を考えるレクチャーの様子

本ワークショップは午前と午後の2回開催され、小学校低学年から中学生まで合計11組が参加しました。 布やシートを丁寧に折りたたんでみたり、大きなオブジェを勢いよく覆ってみたりと、個性を光らせながら自由な方法で制作していました。


自由に制作する様子

一人でいくつもの作品に挑戦する子や、親子で協力したり、友だち同士で相談しながら作ったりと、それぞれの感性や発想を活かして、熱心に作品と向き合う様子がうかがえました。

親子で協力しながら制作

最後に、ポスター制作のため、講師の野間が完成した作品を撮影。 野間のアドバイスを受けながら、作品の向きや持ち方など、細かなところまで気を配り、1つしかない記念のポスターが完成しました。

作品の撮影風景

参加者の作品で制作したオリジナルポスター

ワークショップを通じて、見たことのないような新しいものを作る楽しさや、試行錯誤して完成したものがポスターとして形になる達成感など、さまざまな体験を得られる機会となったことでしょう。


参加者と講師の野間とのコミュニケーションの様子

2021年12月21日(火)から2022年5月22日(日)まで開催された企画展「2121年 Futures In-Sight」展(展覧会ディレクター 松島倫明)のポスター、ジェネラルグラフィック、環境空間が、ADC賞を受賞しました。本展のグラフィックデザインを上西祐理が、会場構成を中原崇志が手がけました。

現在、入賞作品が一堂に展示される日本のアートディレクション展 2022にて、上西のコメントとともに「2121年 Futures In-Sight」展のポスター、チラシなどの印刷物と、会場写真が展示されています。
ぜひご覧ください。

日本のアートディレクション展 2022

会期:2022年11月1日(火) - 11月30日(水)
時間:11:00 - 19:00 日曜・祝日休館 入場無料

クリエイションギャラリーG8[一般作品]
〒104-8001 中央区銀座8-4-17 リクルートGINZA8ビル1F
*「2121年 Futures In-Sight」展に関する展示はこちらの会場になります

ギンザ・グラフィック・ギャラリー (ggg) [会員作品]
〒104-0061 中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル

詳細は下記をご覧ください。
クリエイションギャラリーG8ウェブサイト(外部サイト)

企画展「2121年 Futures In-Sight」展 会場写真/Photo: 吉村昌也

現在開催中の企画展「クリストとジャンヌ=クロード "包まれた凱旋門"」に関連して、『AXIS』219号に、クリスト・アンド・ジャンヌ=クロード財団ディレクターのヴラディミール・ヤヴァチェフ氏のインタビューが掲載されました。
詳細と購入に関しては、AXISのウェブサイト(外部サイト)をご確認ください。

『AXIS』219号

2022年9月17日(土)から19日(月)までの3日間、東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデンの21_21 DESIGN SIGHT前では、「新聞紙とガムテープで包まれた凱旋門とエッフェル塔」を展示しました。本作品は、企画展「クリストとジャンヌ=クロード "包まれた凱旋門"」の関連プログラムとして8月に開催されたワークショップ「みんなの形で凱旋門を包もう(エッフェル塔も!)」にて、造形作家の関口光太郎とワークショップの参加者によって制作されました。
あいにくの天気で、ときおり雨や風に打たれながらも、その圧倒的な存在感はミッドタウン・ガーデンを行き交う人々の注目の的となっていました。

21_21 DESIGN SIGHT前に展示された「新聞紙とガムテープで包まれた凱旋門とエッフェル塔」

パリで「包まれた凱旋門」プロジェクトが実現した2021年9月18日からちょうど1年になる9月18日(日)と翌日19日(月)には、21_21 DESIGN SIGHT スタッフによる「コミュニケーションツアー」を開催しました。
両日ともに集まった20名以上の参加者は、スタッフとコミュニケーションを取りながら一緒に会場を巡り、「包まれた凱旋門」の構想から実現までの道のりを体験することのできる時間となりました。

参加者とスタッフが会場を巡る様子

六本木アートナイトは3年ぶりの開催。「新聞紙とガムテープで包まれた凱旋門とエッフェル塔」の展示と「コミュニケーションツアー」を通じて、困難を乗り越える強さやアートの楽しさを分かち合う機会となりました。

「六本木アートナイト2022」期間中にギャラリー3で来場者を出迎える、関口制作のクリストとジャンヌ=クロード人形