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2009年4月 (6)
「U-Tsu-Wa/うつわ」展の見どころ vol.5
うつわ展の楽しみ方
5回にわたってご紹介してきた「うつわ展の見どころ」。最終回は、21_21 DESIGN SIGHTの外に飛び出し、展覧会を何倍にもに楽しめる、一日の過ごし方をご提案します。
午前11時。開館と同時に21_21 DESIGN SIGHTに到着し、「U-Tsu-Wa/うつわ」展を鑑賞。土や木でつくる多様なうつわたちの豊潤な世界を満喫したら、12時過ぎに、お隣のカノビアーノ・カフェへ。新鮮で優しい味わいのコースランチの最後に、ルーシー・リィー直伝のレシピから再現した、幻のチョコレートケーキを選ぶのを忘れずに。
ガーデン内の新緑を楽しみながら、太鼓橋を渡って14時、サントリー美術館へ。「一瞬のきらめき まぼろしの薩摩切子」展へは、「うつわ×きりこ割引」として、「U-Tsu-Wa/うつわ」展の半券をご提示いただくと、100円引きでご入場いただけます。過ぎし日の薩摩切子の盛衰に思いを馳せたら、ミッドタウンタワーの最上階へ。
15時半、ザ・リッツ・カールトン東京のレストラン「フォーティーファイブ」で一休み。やはり半券の提示で、デザートブッフェが15%割引で楽しめます。
ガレリア3Fのインテリアショップでショッピングを楽しんだ後、ルーシー・リィーのうつわがもう一度見たくなったら、半券を持って21_21 DESIGN SIGHTへ。20時まで開館している当館には、当日に限り、何度でもご入場いただけます。
4月11日土曜日午後、2回にわたり、建築家 安藤忠雄によるギャラリートークが開催されました。 21_21 DESIGN SIGHT の建築を設計した安藤は、今回の「U-Tsu-Wa/うつわ」展の会場構成も手がけ、展示のみどころについても話しました。
建築の分野に限らずさまざまな世界で活躍している安藤は、都市とは「緑」と「文化」があって成立するものだとの意見。ヨーロッパにみられる都市には活気のある文化施設があり、東京も是非、文化施設を大切にして欲しい。日本を「チャンスのある国」、外国人に対して「開かれた国」にし、誰でもチャンスを求めて日本に来るような「文化の国」にすべきだと語りました。
各回200名程の方にお集りいただき、トークの後にはサイン会も行い、大変にぎわいのある土曜日の午後となりました。
うつわをとらえる眼
空輪、宇宙輪、うつわ----本展を企画した三宅一生は、3作家のうつわの空(くう)に、神秘的な宇宙のひろがりを感じとりました。確かに、英語のspaceは「空(くう)」も、「宇宙」も意味する言葉です。三宅のそんな考え方は、本展のヴィジュアルディレクションを手がけた、杉浦康平をも刺激します。杉浦は、「それぞれに味わい深い差異を見せる三人のうつわ宇宙を、『空』なる紙面のひろがりに招きいれた」と言います。
本展メインビジュアルの、鮮やかなピンクが印象的な写真。実は、ルーシー・リィーのうつわを真上から撮影したものです。撮影は、写真家の岩崎寬。撮影に入るまでの間、ただ、うつわたちと対峙し続けたそうです。時に原初の地球の姿をかいま見せ、宇宙的な美をもって私たちを魅了するうつわの数々。日本を代表するクリエーターたちの眼が捉えた、ものづくりと美の原点を、ぜひ会場でご体験下さい。
毎週水曜日18時より、展覧会ギャラリーツアーを行っています。
本展の企画担当スタッフによる見どころ満載のツアーで、展覧会を何倍にもお楽しみいただけます。
- 番組名:
- 日曜美術館
「陶器のボタンの贈り物 三宅一生と陶芸家ルーシー・リー」 - 放送予定日時:
- 2009年4月19日(日)9:00-9:45(教育テレビ)
2009年4月26日(日)20:00-20:45(同・再放送)
1984年、ロンドンの書店で手にした一冊の本をきっかけに始まった三宅一生とルーシー・リィーとの交流を、彼女の遺言によって贈られた陶製のボタンを軸に紹介します。
4月4日土曜日、ミッドタウン・ガーデンではようやく桜が見頃になり、たくさんの人で賑わう中、現在展示中のルーシー・リィーのボタンにちなみ、陶芸家の金子真琴氏を講師に迎え、陶でつくるボタンのワークショップを行いました。
まずは展示中のルーシー・リィーのボタンを見学し、制作するイメージをふくらませます。アクセサリーとしてのボタンや、ブローチ、髪留めの飾りなど、さまざまなアイデアがあるようです。
頭の中のイメージをスケッチし、いざスタートです。
カッターや定規なども使用して陶土を成形し、5つのボタンを作ります。白い陶土に3色をランダムに混ぜてマーブル模様にしたものや、間に別の色を挟んで周囲をカットし、断面が層になって見えるもの、お子さんの顔など素敵なボタンがたくさんできてきました。
形ができると各自自宅に持ち帰り、約1週間乾燥。その後は家庭のオーブンで焼き、最後に防水仕上げ液を塗って完成です。
手を使ってつくることの楽しさや、創造することの素晴らしさを体験していただけたワークショップとなりました。
4月3日、21_21 DESIGN SIGHTの2周年を記念して、ディレクターズの佐藤卓と深澤直人によるスペシャルトーク「こんな時だからこそデザイン」が行われました。
世界中の企業を相手に仕事をする深澤からは、経済も情報も「太り過ぎた」現代、逆に「何が本来の価値なのか考えやすくなったのでは」との意見。グラフィックの世界でもひしひしとデザインと真撃に向き合う時代を感じているという佐藤は、「コミュニケーション、言葉にすることが大切」と語りました。
そんな中、深澤は「正しいデザイン」という考え方を提案。センスや個性がつくる「良いデザイン」から、社会的で責任感のある「正しいデザイン」へ。その考え方に深く共鳴した佐藤も、「デザインとは、気を使うこと」との持論を展開しました。
トーク後には会場とのやりとりも活発に行われ、来場者とともに現代におけるデザインの役割について考えるひとときとなりました。