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ディレクター
ディレクターズ・メッセージ
私は二十代のとき、とても幸運でした。たまたまの出会いから、山中俊治さんのアシスタントになり、そこでの仕事を通して、山中さん、佐藤 卓さん、原 研哉さんら日本デザインコミッティーメンバーと接点を持つことができました。
今でも、はっきりと覚えているのですが、彼らが何気なく描くスケッチや、プロジェクトの中で絶え間なく生み出される資料には、最終形には現れない思考プロセスやデザインのクオリティが詰まっていました。
このようなプロセスを垣間見ることは「つくる人」を目指す当時の私には宝物のような体験でした。良質なインスピレーションを絶えず浴びたことで、今の自分が成立していると思います。
日本デザインコミッティーは日本を代表するクリエイターの集まりです。そのメンバーができることは、次の世代の「つくる人たち」にインスピレーションの種をまくことなのではないか。これが今回の展覧会の構想の出発点です。日本デザインコミッティーのメンバーがこれまで蓄えてきた㊙情報とも言える仕事の方法論・哲学・品質を、おおらかに一般開放することで、日本の次世代にJAPAN DESIGNの遺伝子を伝えていければと思います。
田川欣哉
プロフィール
田川欣哉 Kinya Tagawa
Takram代表。プロダクト・サービスからブランドまで、テクノロジーとデザインの幅広い分野に精通するデザインエンジニア。主なプロジェクトに、トヨタ自動車「e-Palette Concept」のプレゼンテーション設計、日本政府の地域経済分析システム「RESAS」のプロトタイピング、Sansan「Eight」の立ち上げ、メルカリのCXO補佐などがある。経済産業省・特許庁の「デザイン経営」宣言の作成にコアメンバーとして関わった。経済産業省産業構造審議会知的財産分科会委員。グッドデザイン金賞、 iF Design Award、ニューヨーク近代美術館パーマネントコレクション、未踏ソフトウェア創造事業スーパークリエータ認定など受賞多数。東京大学工学部卒業。英国ロイヤル・カレッジ・オブ・アート修士課程修了。2015年から2018年までロイヤル・カレッジ・オブ・アート客員教授を務め、2018年に同校から名誉フェローを授与された。