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企画展「The Original」

contents

企画原案

本展に寄せて

何がオリジナルかわからない時代が来た。真似、コピー、影響とかオマージュ。オリジナルではないものにさまざまな言い方がある。この中で積極的真似ではない言葉と現象が「影響」である。
影響は受けないわけにはいかない。避けられない。それくらいオリジナルに感動し引き込まれてしまうのである。これを意図的に避けて何かをデザインしようとしても、自然の発想とは異なる。影響は流行を生み、増殖が早い。

そんななかにあって、なかなか真似できないオリジナルがある。オリジナリティが強すぎてそのかたちが2度と使えないのである。もちろんそのオリジナルはすこぶる良いもので、デザインという言葉が誕生した頃に、同じくして生み出されたものが多い。しかし最近の社会がデザインに無頓着になったせいか、何がオリジナルで何が真似かなどはどうでもよくなってきてしまったきらいがある。おそらくオリジナルの良いデザインをあまり知らないのではないかと思う。それは勿体ないと思い、この展覧会を企画した。
オリジナルのすばらしさを感じて欲しいのと、一緒に感動を分かち合いたいのだ。

最近はデザインのツールが凄まじく進化したせいで、誰もが美しい線やフォルムを生み出せるようになった。しかしそういったコピペのようなものの氾濫が、デザインをつまらなくしているような気もする。
だからもっとオリジナルのすばらしさを知ろう。影響されないように歯をくい縛ろう。オリジナルに嫉妬しよう。いくら偉大なものを生み出した人でも、人生を生きた長さはあまり変わらない。生きているうちにすばらしく真似されないオリジナルを生み出そう。
この展覧会に"The"をつけたのはそんな思いがあってのことだ。「これってオリジナルだよね」という事柄を探すのも楽しいと思う。

深澤直人