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2008年11月 (3)
現在開催中の吉岡徳仁ディレクション「セカンド・ネイチャー」展で展示されている東信の作品「LEAF MAN」。実は毎週少しずつ変わっているのです。そのリーフマンが11月18日、クリスマスバージョンへと変身しました。その模様をレポートします。
午前10時、東信とそのスタッフが集まり、リーフマンの模様替えがスタート。東のイメージスケッチをもとに、4時間を費やしながらクリスマスバージョンへと変身していきました。
今回は、ひばや杉、コニファーなどクリスマスシーズンによく見かける植物を使い、華やかに変身。実つきのヒバ、大きな松かさを使った演出もあります。
「LEAF MAN」では作品に用いる植物の種類が予め決められているため、他の植物で表現したのは今回が初めて、と東。季節にあわせて変身するリーフマンは、東にとって初めての実験的な試みなのです。21_21 DESIGN SIGHTで、今しか見ることができないスペシャルなリーフマン、12月24、25日にはさらにバージョンアップして登場する予定です。ぜひお見逃しなく。
11月8日、「セカンド・ネイチャー」展に映像作品「REINCARNATION」で参加している、ダンサー/振付家の森山開次と、映像作家の串田壮史によるデザインレクチャー「魂と身体」が行われました。進行を務めたのは、本展企画協力の一人でデザインディレクターの岡田栄造です。
サッカーのゴールキーパーの姿を見て身体に興味を持ったという串田と、センターバックを務めていた森山の二人は、初めて会ったときから、互いの仕事がリンクしていると感じたそうです。ダンスで自由に変化する森山の体を見て「魂を表現するのにぴったり」と考えた串田は、森山の身体を魂に、赤い布を肉や血に見立て、「死んでから生まれるまでの美しい瞬間」(串田)、輪廻を表現しました。赤い布の試行錯誤には時間をかけ、時には液体に、時には塊に見せられるよう、最終的に3-4種類の布が混ぜられたそうです。
「REINCARNATION」には、森山が激しく踊るシーンが登場します。このシーンは、暴れているように見えて、実は冷静に布の動線を見ながら、最後にその布をつかんで投げるクライマックスを持ってくるなど、緻密な計算と設計のもとに振付けられています。その他にも、メーキングのプロセスが詳細に語られ、「CGで表現するのは簡単なのに、意外と手作業が多い」(森山)映像制作の舞台裏が明かされました。
展覧会のテーマ「セカンド・ネイチャー」と作品との関わりについて、「体も自然の一部。踊ることで自然の中に自分がいることを感じられる」と話す森山と、「輪廻とは、人が死ぬという絶望的な自然現象に対して、人が生まれるという希望を込めた、人間の想像力から生まれたストーリー」であると語る串田。老人になったらもう一度「REINCARNATION」に挑戦したいという二人に、会場からは大きな拍手がわきおこりました。
何百枚もの白紙をカットし積み上げて、うごめくような起伏のある作品を生み出している安部典子。10月25日には「形としての時間」と題して、21_21 DESIGN SIGHTで公開制作を行いました。4時間半に渡る公開制作の間、一枚一枚フリーハンドでカットされた紙を積み重ねて完成した凹と凸の一組の作品「Work No. 2121, 102508」は、「Second Nature」の文字をかたどったもの。この作品に安部は、「文字を切ることからはじめ、文字をそこから自由にしていくことで、純粋に形だけにしていこうと思った」とのこと。これは、「半分は人間が、もう半分は自然がつくる」という吉岡徳仁の出展作品にも通じるものなのです。
そして、公開制作終了後に行われた上條昌宏(本展企画協力)とのトークでは、安部典子が今の作風にたどり着くまでの経緯や、作品に込めた想い、現在の活動について語られ、今回のイベントのタイトル「形としての時間」についても触れられました。安部にとって「形」とは、「時間が形になる木の年輪のように、形(作品)は見えない時間の流れを視覚化したもの」であるとのこと。確かに完成した作品には、言葉では表現しきれない時間の流れと自然の起伏が刻まれていました。
アットホームな雰囲気の中で行われた公開制作。参加された方は、どんどん積み上がって形になっていく作品に不思議そうに見入ったり、気軽に質問をしたりと、たくさんの交流がうまれた場となりました。