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感動のかたち

2009年2月12日 19:00U-Tsu-Wa/うつわ,三宅一生

美しいと感動した経験について話してほしいと言われることがあります。そんな時にまず思い出されるのは、ルーシー・リィーさんの名前としごとです。

今から20数年前に、ロンドンの書店で偶然手にとった陶磁器の本。それを見て心を動かされた私は、さっそくルーシーさんの制作スタジオ兼自宅を訪ねることになりました。彼女の人柄と作品の数々に触れて、その時私は「つくる、とはこういうものだ」と直観して心も身体もリフレッシュし、勇気づけられたことを覚えています。そして、その夢も醒めきらないうちに、日本で「ルゥーシー・リィー展」を企画・実現し(1989年東京と大阪で開催)、大きな反響をよぶことができたのです。

さて、21_21 DESIGN SIGHTの企画による「U-Tsu-Wa/うつわ」展。ここでは20世紀の伝統の中に未来形の創造の宇宙を発芽させたルーシー・リィーさんを中心に、その水脈をうけ継いで明日の陶磁器づくりに新しい方向性をあたえているジェニファー・リーさん、木から生命を見つけ出すエルンスト・ガンペールさん、という二人の作家を配して、多様なうつわたちの豊潤な造形世界が展開されます。土・石・木、自然素材と向き合い、美しい形を削り出していくしごとは、自身の内面を深く厳しく掘り下げる作業に通じています。そこから、私たちの生活と文化をうるおす清新な創造の伏流水が湧き出してくることでしょう。

三宅一生

ルーシー・リィー(左)と三宅一生(右)
ルーシー・リィー(左)と三宅一生(右)