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形(カタ)から学ぶ空手一日入門

空手家の諸岡奈央と内海健治による、迫力のある「形」の演武から始まりました。



21_21の建物中に響き渡る気合い入れの声。道着の擦れる音が参加者側にも聞こえるほどキレの良い、すばやい動き。見えない敵をしっかりと睨む目つき。
二人とも非常に力強く美しい演武に圧倒されつつ、松本和佳によるインタビューで、今回のレクチャーが行われました。



二人が披露した「形」とは、もともと誰でも空手を始められるように構成された技のことでした。内海は「形」について、自分と戦いながらやるもの、年を重ねてもどこまでも鍛錬していけるものだと語ります。
諸岡はその「形」を練習する際、体の軸を意識し、自分の体が床に対して垂直であるようにすると言います。その方が回るときも技を出すときも力が伝わりやすく、効率的に動くことができるのです。また、そのように自身の体と向き合って、脳が指令を体に伝えるのを意識して動くことが非常に面白いのだそうです。
このように空手において「形」とは、練習の基礎になるものでもあり、また実力の評価基準になるものでもあります。特定の形に忠実に披露できているかということはもちろん、表情や立ち方、姿勢、技に対する理解度が評価されます。表情については、その理解からどこまで敵を想像して「目付け」(敵を睨むこと)ができているかが評価のポイントです。立ち方は横に足を開き、横からの攻撃にも耐えることができるようにします。

その後参加者とともに空手の基礎を体で学ぶワークショップ。体の「軸」を意識して立ち、シコ立ちをしたり、見えない敵をしっかりと見据えながら正拳づきの練習などを行いました。



それから諸岡と内海がISSEY MIYAKEのAUTUMN WINTER 2009の服作りに協力したことから、道着に関する話題へ。内海は約20着もの形の違う道着を持ち、それぞれにこだわりがあるそうです。試合により袖の幅を変えることで技を行うときに出る音が違うという話で、自身の動きや道着を身につけたフォルムに対する熟慮に驚かされます。
ここで、諸岡がISSEY MIYAKEの空手スーツ姿で登場。最後に、ギャラリー2の緒方壽人と五十嵐健夫による鑑賞者の影に骨格を持たせることで影がひとりでに動き出す作品「another shadow」の前に移り、諸岡と内海が非常に幻想的な演武を披露。二人の意識の行き届いた動きは非常に美しいものでした。その後も参加者が再び二人を囲み、名残惜しむように質問が続きました。