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2010年9月 (2)
参加作家の斎藤達也と研究者の石澤大祥を講師に迎えたワークショップ。はじめに、粘土でできた人形をサイコロ状にして、自分の体積を実感するという本ワークショップのねらいを説明し、ペットボトルや椅子、牛など、身近なものの体積を段ボールの箱を用いて確認します。
その後、人間の体積を立方体にしたときの一辺の長さを瞬時に割り出す特別な装置を使い、それぞれの箱の制作にとりかかります。使用するのは、段ボールやえんぴつ、定規など、ありふれたものばかり。与えられた一辺の長さから立方体をつくるというシンプルな作業ながら、自分の体積となると、参加者の真剣さは増していきます。完成後は、親子や友達と箱の大きさを比較したり、箱を集めて山をつくったりと、自分の体積と同じ大きさの箱を、ただの箱とは思えない参加者たちでした。
本展にパソコンのデスクトップ展示でご協力をいただいている歌人の穂村 弘を迎え、トークイベントを行いました。
人はそれぞれパソコンのデスクトップを使いやすいように配置しているもの。それは現代における書斎の机上と呼べるのではないでしょうか。本棚や冷蔵庫など、他にも人の「属性」が見えるものを例に挙げ、実は今回の展示協力に最初は抵抗があったことを教えてくれた穂村。日本人だと余計にその傾向があるのではないかと語ります。
今回のトークは「言葉と属性」というテーマのもと、前半は言語化以前の属性について、穂村が考える言語化が難しい「属性」の例をあげながらトークは進みます。中央線沿線には主体的な女性が多い、アマチュアの歌人は名前に「月」と入れたがるなど、ユニークなエピソードに会場は笑いに包まれました。後半は穂村が配布した短歌の例を読みながら解説を行い、短歌の裏に隠された歌人の細かな「属性」の発見に思わずふきだしたり、納得させられたり、楽しいひとときとなりました。