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松浦弥太郎、久野恵一によるトーク「21_21 手仕事フォーラム」
2012年5月19日、「暮しの手帖」編集長の松浦弥太郎と、手仕事フォーラム代表を務める久野恵一によるトーク「21_21 手仕事フォーラム」が行なわれました。
まず始めに松浦が久野を紹介。もともと旅が好きだと語る久野は、長年時間をかけて全国を訪ね歩き、職人やものづくりを行なう人たちと出会ってきました。
松浦はリサーチからつくられた展覧会を見て、江戸時代後期に活動した旅行家・博物学者の菅江真澄の活動に通じるものがあると紹介。菅江が残した調査のデータや風景画を通して、日本文化を分かりやすく挙げていきました。中でも東北は海側から入ってきたものや、閉ざされた冬の間に育まれたものなど、多種多様でした。
松浦は「手仕事の品がなぜ良いと思えるのか、それはひとの暮しの中に存在し、ひとの暮しには命がかかっているから美しいと思うのではないか」と考えます。久野も、かつて35〜40年間使い込まれた東北の籠をみて、使い込みも含めて美しいと感じたそう。「初めて見たときに違和感を感じない、生活の中で使われることが当たり前となっているものに用の美がある」と語りました。
トーク後半ではテマヒマ展との出会いについても言及。本展を通して、今まで知らなかったものに触れ、東北へ行ってみたいと思ってほしいと久野。若い人たちが東北に出向き、さまざまなつくり手に出会い、いいものを見極めるための目を養うことが大切だといいます。最後に松浦から、自身も旅をするときに胸に刻んだという民俗学者 宮本常一「父の十か条」の一部を紹介しました。
・汽車に乗ったら窓の外をみること
・新しい土地では高い場所に行くこと
・名物を食べること
・地域を歩くこと
・他人が見残したものを見るようにすること......
質疑応答の時間でも旅についての話題があがり、自らが歩いてその土地の文化や知恵を見て選び、学ぶこと、情報を得るということについて、熱く語られる時間となりました。