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2014年7月4日より、いよいよ開催される「イメージメーカー展」。開幕を間近に控えた本展の参加作家と、それぞれの作品の見どころを紹介します。
デヴィッド・リンチ
映画監督として知られるデヴィッド・リンチは、画家を目指してペンシルベニア美術アカデミーで学び、若い頃から絵画や写真、アニメーションや立体作品など、様々な方法で独自の表現活動を続けてきました。現在も映画監督としてはもちろん、写真家、音楽家、画家、デザイナーとして分野を超えて活躍しています。リンチは多岐にわたる活動を通じて、神秘的であると同時に心をかき乱すような、奇妙であると同時に詩的でもある宇宙を創出しています。
2007年、パリのカルティエ現代美術財団で、リンチの絵画、デッサン、写真、短編映像を集めた大回顧展「The Air is on Fire」が開催された際、彼はパリのモンパルナスにあるリトグラフのアトリエ「IDEM」に遭遇します。そこでは、ピカソやマティス、シャガールらの作品を生み出した印刷機が、今も稼働しています。それ以降、リンチはこのアトリエで毎年リトグラフを制作しています。本展では、物質の歓喜と実験的試みへの探究心が波打った彼のリトグラフ作品24点を、カルティエ現代美術財団から特別にお借りして展示します。
「これにより、リトグラフという全く新しい世界、魔法のようなリトグラフの世界、石の魔法の世界が開かれた。この発見は、実にすばらしい出来事だった。リトグラフという水路が切り開かれ、さまざまなアイデアが流れ出し、それが百枚ほどのリトグラフへと結実した。リトグラフとは、使用する石、制作する場所、制作者のコンビネーションであり、この雰囲気からこれらのアイデアが生まれてくる。この出会いが、手を生きた道具に変え、偶然の要素、手さぐりの試みの可能性を引き出してくれる」------デヴィッド・リンチ
なお、6月25日から7月14日まで、渋谷ヒカリエの8/ ART GALLERY/ Tomio Koyama Galleryで、IDEMの機械と裸婦をモチーフにした写真シリーズ「NUDE - ATELIER IDEM 2012」と近作のリトグラフを中心とした「デヴィッド・リンチ展」が開催されます。あわせてご覧ください。