Loading...

contents

トークシリーズ「I Have an Idea」
第2回 "でこぼこ" 機能とかたちについてを開催

2015年11月28日、建築家 塚本由晴と哲学者 柳澤田実が登壇し、「トークシリーズ『I Have an Idea』第2回 "でこぼこ" 機能とかたちについて」を開催しました。

対談は、柳澤によるゲーリーの考察から始まりました。柳澤は、ゲーリーが自らの建築に対して語った「従順でないが思いやりのあるもの」「コントロールされたカオス」というフレーズを挙げると、ゲーリー建築には様々な行為を促す余白の部分が多いと話し、その背景には「他者の行為可能性の増大を援助する」というアメリカ的なプラグラティズム(実用主義)があるのではないかと話しました。さらに柳澤は、ゲーリーが古典絵画に傾倒していることに着目。絵画上の「情念のせめぎ合い」が建築のコンポジションへと変換されているという見解を語りました。
対して塚本は、「建築家はものごとを整理しがちだが、ゲーリーはどんどん複雑化し、エントロピー(エネルギーが自然に流れる向きを表す指標)を増やしながらも、ぎりぎりのところでバランスを保ち、動的平衡を建築の世界に取り込んでいくのが面白い」と応じました。

続いてトークは、本日のテーマである"でこぼこ"という言葉に移ります。ゲーリー建築にみられる「でこぼこ」としたかたちに対し、「(ゲーリーは建築を通して)概念と物質の間で遊んでいる」と言う塚本。ゲーリーは、概念を物質に劣ることなくかたちとして実現する「隙間」というデザイン言語をいち早く見出したのだと言います。続けて、柳澤は「遊びごころだけでなく、かたちへの強い意志、肉々しさや、情動が凝固されたパワーを感じる」と述べました。

ゲーリー建築を通して、現代の日本社会における建築の有りようにも触れられた今回の対談。ゲーリーの存在が、建築における大きな指標となっていることを改めて知る機会となりました。