contents
トークシリーズ「I Have an Idea」 第4回 "どっかん" ゲーリーとはだれか?を開催
2016年1月9日、建築家 青木 淳と映画プロデューサー・小説家 川村元気が登壇し、「トークシリーズ『I Have an Idea』第4回 "どっかん" ゲーリーとはだれか?」を開催しました。

まず、本展において象徴的なゲーリーの「マニフェスト」について触れ、ゲーリーのアイデアが実現されるまでのプロセスについて、両者が語りました。「マニフェスト」での、模型をつくっては嫌いになるというフランク・ゲーリー自身の言葉を受け、川村は「つくることは最高の自己肯定。それと同じくらいに嫌いになることを、ゲーリーはやっていると知り、ほっとする」と語りました。

続いて、テーマの"どっかん"へと話は移ります。ゲーリー建築のような大規模かつ独創的なフォルムを生みだすためには、「クライアント、予算、時間。さらには、偶然もどこまで引き受けるか。実はかなり切り詰める」ことが必要であると青木。"どっかん"は緻密な計算式に基づくものであり、ゲーリーが自ら立ち上げた「ゲーリー・テクノロジー」の技術が、それを可能にしていると続きました。その飽くなき挑戦が、現実をフィクション化してしまうような、完成度の高い建築をつくりあげることができると、青木、川村ともに凄みを感じているようでした。

トーク中、川村が、映画のアイデアを実現するために、現実の環境や他者との関わりによって生じるジレンマは、建築のプロセスと似ているとも語った今回。終了時にて、青木が述べた「ゲーリーは建築だけでなく、ものをつくっていくことに真っ当な見本のようである」という言葉が、ゲーリーの優れた普遍性を言い表しているようでした。