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「土木展」企画・制作レポート
Vol.3 青函トンネルとゴッタルドベーストンネルの断面図

2016年7月14日 10:00デザイン,土木展

開催中の企画展「土木展」は、生活環境を整えながら自然や土地の歴史と調和する土木のデザインについて考える展覧会です。
本展に向けて、実際の「土木」を訪れたり、自らの手で「土木」のスケールを体感したりしながらすすめられたリサーチの様子を一部ご紹介します。

日本と世界を代表する2つの長大トンネルを通じて、日本と世界の土木技術の粋を紹介する展示作品「青函トンネルの断面図」「ゴッタルドベーストンネルの断面図」。
本展グラフィックを担当した柿木原政広の監修のもと、専門学校ヒコ・みづのジュエリーカレッジ、大妻女子大学、千葉工業大学の学生たちが、2つのトンネルの断面図を手描きで表現した作品です。


Photo: 木奥恵三

2016年6月1日、全長57kmで世界最長の鉄道トンネルとなるスイス・ゴッタルドベーストンネルが開通しました。アルプス山脈を縦貫するこのトンネルは、スイスーイタリア間の移動を約1時間短縮し、日本が誇る世界最長であった青函トンネルが本州と北海道をつなぐ53.9kmの記録を塗り替えました。

制作初日、学生たちの前に広げられたのは2枚の細長い紙。ここに、青函トンネルとゴッタルドベーストンネルの断面図をそれぞれトレースし、地層ごとに色を分けパターンを描き込みます。作業に集中する学生たちの中には柿木原の姿も。それぞれがカラーペンを片手に、「必ず定規を使う」というルールのもと、担当箇所を塗りつぶしていきます。

1本のトンネルを掘り進める間には、それぞれ性質の異なる幾重もの地層を通過します。実際に、ゴッタルドベーストンネルの施工中にも、地質の違いによる困難が多かったといいます。

トンネルを囲む自然を色鮮やかに表現したこの断面図は「土木展」会場の一番奥に展示されています。完成したトンネルを通過するだけでは体感することのできないトンネルの外側と、その困難を乗り越えた「土木」の技術への気づきのきっかけとなるでしょう。

2016年8月11日(祝木)、秋田勝次、レンツォ・シモーニ、西村 浩、青野尚子によるトーク「海のトンネル、山のトンネル」を開催します。2016年、新しく祝日に制定された「山の日」となるこの日に、青函トンネルとゴッタルドベーストンネルからそれぞれの代表を招き、時代背景や地域の違いなどを語り合います。
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