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2017年2月25日、オープニングトーク「アスリートの哲学」を開催しました。
トークには、本展ディレクターの為末 大、緒方寿人、菅 俊一が登壇しました。
トークは本展の見どころや作品概要について語られました。
展示構成について緒方の解説を交えながら、トークは進行します。まず、「驚異の部屋」では、為末も室内で見る迫力とスピードに驚いたと感想を述べます。見る場所や見る角度によっても印象が全く異なると菅は続けます。「アスリートの体型特性」では古代ギリシア時代は完璧な人間像を求めていたため、各競技の体型がほとんど同じだったと為末は語ります。そして各競技に適した体型に細分化されたと続けます。現役時代の体験を踏まえた為末ならではのエピソードを織り交ぜながらアスリートの体型特性について語りました。
「アナロジーラーニング」について、ハードル走では「サーカスの火の輪をくぐるように」という例えを用いると為末は語ります。このアナロジーラーニングでは、その選手がいままでの人生で経験をしてきた体験からしか比喩を用いることができないので、コーチングでは文化的背景を理解することや想像力が必要だと述べました。
「アスリートと新聞」の作品から、メディアとアスリートの関係性について「人気スポーツだからメディアになる。メディアになるから人気スポーツになる」と述べる為末。アスリートと聞くと、体育会系で閉ざされたイメージが強いですが、日常の延長線上にアスリートがいることを伝えたいと述べました。
菅は価値を変える、転換させることがデザインの能力だと述べます。年齢という概念を超え、熟練することで価値を見出す職人にもアスリート性があるように、年齢を重ねることが楽しくなるような社会構造をつくることが今後の日本には必要になってくるのではないかと見解を述べます。
最後には、参加者からの質問に3人がそれぞれの視点で答え、社会問題、デザイン、技術などのさまざまな視点から意見が交換される会となりました。