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2017年6月23日、企画展「『そこまでやるか』壮大なプロジェクト展」に関連して、トーク「ジョルジュ・ルースが語る」を開催しました。
ジョルジュ・ルースは、絵画と建築と写真を融合させ、人の錯視などを利用して、空間を変容させる作品を世界中で制作しています。本展では、21_21 DESIGN SIGHTの建築にあわせた作品を制作しました。21_21 DESIGN SIGHTの地下空間に、地上から差し込む光を受けて存在している展示作品「トウキョウ 2017」をある1点から見ると、空間に正円が現れます。
まずはじめに、クリエイションの過程を映像で紹介しました。ルースは、写真が自身の起源であり、到達点でもあると言います。彼の制作は、カメラが捉えた特定の視点から出発し、完成した作品の姿はその1点からだけ見ることのできるものになります。ルースは「私が写真を撮影するときしか作品は存在しないし、そのカメラのレンズの視点からでないと見ることができない」と語りました。
また、自身の作品に用いる「円」というモチーフは、カメラのレンズのメタファーであるとも話すルースは、さらに自身の作品と写真との関係について、「光を書く」という意味の「Photographie」という言葉の通り、光と質感との関係、建築物への光の投射が重要であるとも言います。
幼い頃から廃墟が好きだったというルースは、初期の制作を廃墟で行いました。あらゆる役目を失い、もはや全体が把握できないような場所に別の姿を与えることが目的であったと言います。そういった場所での人物などをモチーフにした巨大な絵画作品を重ねるうち、「だまし絵」のような要素に面白さを感じ、錯視などを用いた作品を制作するようになった過程を、これまでの作品を通して紹介しました。その解説からは、これまでに作品を成立してきた世界中のどの場所でも、それぞれの場所への解釈をもって制作に臨んできたことも伝わります。
最後に、東日本大震災後の2013年、宮城県の松島でのプロジェクト「松島 ネガ/ポジ 2013」を映像で紹介しました。地域住民とともに取り組んだ制作過程から完成までを記録したドキュメント映像に、会場からは自然と拍手が起こり、トークの締めくくりとなりました。