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トーク「現代写真と現代美術 22世紀美術へ向けて」を開催
2018年5月26日、企画展「写真都市展 −ウィリアム・クラインと22世紀を生きる写真家たち−」に関連して、トーク「現代写真と現代美術 22世紀美術へ向けて」を開催しました。トークには、本展ディレクターの伊藤俊治と美術評論家の椹木野衣が登壇しました。
はじめに、伊藤が展覧会の主旨を解説しつつ、参加作家を紹介しました。ウィリアム・クラインの写真について、「作品ではなく写真の概念を示している、だから常に新しいものに見える」と語る伊藤。本展には21世紀と22世紀の対比がひとつの軸として埋め込まれていると述べ、未来の写真を浮かび上がらせ、その概念を示すことを狙ったと続けました。
1999年に著書『22世紀芸術家探訪』を発表した椹木。子どもの頃から様々なメディアで21世紀のビジョンが語られ、「21世紀」という言葉には非常に馴染みがあったと言います。そして21世紀を目前としていた同書の発表当時、あえて「22世紀」という言葉に着目したと続けました。
また、1984年に自身初の著書『写真都市 City obscura 1830→1980』を出版した伊藤は、写真というメディアの変遷には、都市の感受性の変容も含まれており、写真家が都市を撮るのではなく、都市と写真が一体化しているとも言えるのだと語りました。
本展の英語タイトル「NEW PLANET PHOTO CITY」の、PLANETとCITYは次元の異なる枠組みの言葉ですが、その二つの言葉が結びついてしまうような世界観が、本展の参加作家や彼らの作品には表現されていると椹木は述べます。
写真の歴史を解体していくような働きを作品に持たせ、都市の中に生きる人々の精神そのものを写し出し、 さらには21世紀的な写真を飛び越えて、22世紀と繋げているようだと両者は語り合いました。
誰もが当たり前のように写真を撮って人と共有する時代になり、"都市の中に溶け込んでしまっている"と椹木が例えるように、写真がいかに私たちの生活に深く根付き、記憶や経験、認識の土台を形成しているのかを改めて認識するトークとなりました。