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2022年9月 (4)

2022年9月17日(土)から19日(月)までの3日間、東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデンの21_21 DESIGN SIGHT前では、「新聞紙とガムテープで包まれた凱旋門とエッフェル塔」を展示しました。本作品は、企画展「クリストとジャンヌ=クロード "包まれた凱旋門"」の関連プログラムとして8月に開催されたワークショップ「みんなの形で凱旋門を包もう(エッフェル塔も!)」にて、造形作家の関口光太郎とワークショップの参加者によって制作されました。
あいにくの天気で、ときおり雨や風に打たれながらも、その圧倒的な存在感はミッドタウン・ガーデンを行き交う人々の注目の的となっていました。

21_21 DESIGN SIGHT前に展示された「新聞紙とガムテープで包まれた凱旋門とエッフェル塔」

パリで「包まれた凱旋門」プロジェクトが実現した2021年9月18日からちょうど1年になる9月18日(日)と翌日19日(月)には、21_21 DESIGN SIGHT スタッフによる「コミュニケーションツアー」を開催しました。
両日ともに集まった20名以上の参加者は、スタッフとコミュニケーションを取りながら一緒に会場を巡り、「包まれた凱旋門」の構想から実現までの道のりを体験することのできる時間となりました。

参加者とスタッフが会場を巡る様子

六本木アートナイトは3年ぶりの開催。「新聞紙とガムテープで包まれた凱旋門とエッフェル塔」の展示と「コミュニケーションツアー」を通じて、困難を乗り越える強さやアートの楽しさを分かち合う機会となりました。

「六本木アートナイト2022」期間中にギャラリー3で来場者を出迎える、関口制作のクリストとジャンヌ=クロード人形

現在開催中の企画展「クリストとジャンヌ=クロード "包まれた凱旋門"」に関連して、本展特別協力の柳 正彦によるレクチャーシリーズ「二人のアーティスト:創作の64年」(全4回)が始まりました。
2022年7月28日(木)、シリーズの第1回として「『包まれた凱旋門』への道」と題し、オンラインにてトークを開催しました。

Photo: Wolfgang Volz
©1985 Christo and Jeanne-Claude Foundation
©1995 Christo and Jeanne-Claude Foundation
©2021 Christo and Jeanne-Claude Foundation

クリストとジャンヌ=クロードから「ジャパニーズ・サン(日本の息子)」と呼ばれ、1980年代から数々のプロジェクトに携わってきた柳。トークでは、柳だからこそ知ることのできたエピソードを交えながら、64年にわたるクリストとジャンヌ=クロードの創作活動を振り返り、二人がなぜ「包まれた凱旋門」をつくったのか、その理由に迫りました。

トークは二人の生い立ちから始まります。幼いときの写真資料やクリストのインタビュー映像を紹介しながら、二人がアーティストとなった経緯やこれまでのアーティスト活動を時系列に沿って解説しました。

クリストは1950年代末から電話や家具など身の回りにあるものを包み始め、作品のスケールは次第に建物へと大きくなっていきます。1961年にクリストはいくつかのフォトモンタージュ(合成写真)を制作します。この頃から、大規模なプロジェクトの構想を紙の上で提示するという手法を始めたといいます。その翌年1962年には「包まれた凱旋門」プロジェクトのフォトモンタージュが制作されます。

1964年にそれまで住んでいたパリからニューヨークに移り住むと、「包まれた凱旋門」の構想は心の片隅にしばらく置かれることになります。その後、初めて公共建物のプロジェクトが実現したのは1968年、スイスのベルン市美術館(「包まれたベルン市美術館、1967–68」)でした。70年代から80年代は、「ヴァレー・カーテン、コロラド州ライフル、1970–72」「ランニング・フェンス、カリフォルニア州ソノマ郡とマリーン郡、1972–76」など、「包む」以外のプロジェクトが中心になっていきます。数々の作品の実現を経て、それまで二人が包んだ中で最大規模の建物である「包まれたライヒスターク、ベルリン、1971–95」が実現します。そして2017年、「包まれた凱旋門」プロジェクトが再スタートしたのです。

「包まれた凱旋門」がそれまでと違った点は、「オーダーでつくった服をまとっているように見えること」だと柳は話します。前もって計算してつくった形をかける方法はベルン市美術館のときには見られませんでした。その違いを生み出しているのは、布の下にフレームを入れていることだといいます。建物の装飾を保護するためだけではなく、フレームが建物に新しい形を与えている。包み隠すのではなく、布とフレームによって新しい外観を与えているのだと説明します。

トークの後半では、二人がどのようにプロジェクトを進行していったか、またワーキング・ファミリーについてにも触れました。
質疑応答では、なぜ「包む」のか、「包み方」がどのように変化してきたのか、資金調達や二人の役割分担についてなど、長年共に過ごしてきた柳自身の見解も交えながら、深い考察に触れ、質問が尽きない中でトークは終了となりました。

本レクチャーシリーズ第2回は9月29日(木)に開催します。テーマは「日本とのつながり」です。詳細は企画展「クリストとジャンヌ=クロード "包まれた凱旋門"」の「関連プログラム」をご確認ください。みなさまのご参加をお待ちしています。

2022年9月1日(木)から27日(火)まで、企画展「クリストとジャンヌ=クロード "包まれた凱旋門"」に関連して、ISSEY MIYAKE KYOTOのKURAにて、KURA展 特別展示「写真家ウルフガング・フォルツがみた『クリストとジャンヌ=クロード "包まれた凱旋門"』」を開催しています。

©️ ISSEY MIYAKE INC. Photography: Keiji Okubo

写真家のウルフガング・フォルツは50年以上前からプロジェクトの写真を撮り続けています。またフォルツは写真家としてだけではなく、いくつかのプロジェクトではディレクターもつとめ、実現における重要な役割を担いました。21_21 DESIGN SIGHTにて開催中の本展で展示されている写真の多くも、フォルツによるものです。

©️ ISSEY MIYAKE INC. Photography: Keiji Okubo

クリストとジャンヌ=クロードの友人であり、二人からの熱い信頼のもと、短い期間しか存在しないプロジェクトの全てを記録することを託されたフォルツがみた「包まれた凱旋門」をご覧ください。

会期:2022年9月1日(木) - 27日(火)
会場:ISSEY MIYAKE KYOTO(京都府京都市中京区柳馬場通三条下ル槌屋町89)
お問い合わせ:075-254-7540(ISSEY MIYAKE KYOTO)

下記ショップではKURA展と連動した特別展示を開催します。
2022年9月15日(木)から me ISSEY MIYAKE / AOYAMAにて
2022年10月1日(土)から ISSEY MIYAKE SEMBAにて

詳細はISSEY MIYAKE INC.の公式サイト(外部サイト)をご覧ください。
https://www.isseymiyake.com/ja/news/9692

2021年12月21日(火)から2022年5月22日(日)まで開催した企画展「2121年 Futures In-Sight」展 の記録映像を21_21 DESIGN SIGHT公式 Vimeoアカウントにて公開しています。

企画展「2121年 Futures In-Sight」展 記録映像(約30分)
サウンド:evala、映像:渡辺 俊介

本展で紹介したFuture Compass Digitalは、引き続きお楽しみいただけます。

「Future Compass」とは、私たちが思い描く「未来」への羅針盤であり、未来に向けた「問い」を導き出すためのツールです。3層の円盤から構成され、21のキーワードを自由に組み合わせることで、自身のオリジナルの「問い」を導き出すことができます。

Future Compass Digital(撮影:吉村昌也)

Future Compass Digitalにアクセスし、くるくると回しながら3つの「言葉」を選ぶと、同じ「言葉」の組み合わせを選んだ「2121年 Futures In-Sight」展参加作家の「問い」と「インサイト」をご覧いただけます。

記録映像と合わせてお楽しみください。
* Future Compass Digitalの公開は終了しました