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そのとき、どうする?展 –防災のこれからを見渡す– (4)
21_21 DESIGN SIGHTと同じ東京ミッドタウンに位置するサントリー美術館との協力企画として、2025年8月10日に小学生とその保護者を対象とした「サントリー美術館×21_21 DESIGN SIGHT ご近所ミュージアムツアー」を開催しました。
この企画はサントリー美術館の「みんなで楽しむ!サン美まるごとアートフェス2025」のプログラムの一つとして開催されました。企画展「そのとき、どうする?展 –防災のこれからを見渡す–」にちなんで、サントリー美術館と21_21 DESIGN SIGHTの、建物のひみつをテーマにめぐるツアーです。両施設の建築デザインと防災設備を紹介するほか、もし展覧会鑑賞中に地震に遭遇したら「そのとき、どうする?」を考えてみる時間も設けられました。
ツアーの最後には、普段は通ることのできない21_21 DESIGN SIGHTの非常階段を通って地上に上がることができ、参加した小学生にとって特別な体験となりました。



©田山達之
21_21 DESIGN SIGHTは、日々多くのお客様をお迎えする施設として、災害時の対策を平時から検討しておくことが求められています。これは、21_21 DESIGN SIGHTが位置する東京ミッドタウンのような商業施設全体にも共通する課題です。
企画展「そのとき、どうする?展 –防災のこれからを見渡す–」では、東京ミッドタウンと連携し、東京ミッドタウンの商業施設の店長に向けて展覧会を紹介したり、防火・防災体験訓練へブース出展したりするなど、業務上、災害や防災に向き合う必要のある方々に向けてさまざまな取り組みを行っています。
8月初旬には7日、8日と2日間にわたって東京ミッドタウンで働く方を対象とした特別鑑賞ツアーを開催しました。終始メモをとられる方や、特設サイト「みんなは、どうする?」webで回答を入力しながら鑑賞される方など、参加者は非常に熱心にガイドに耳を傾けていました。


2025年7月26日(土)、企画展「そのとき、どうする?展 –防災のこれからを見渡す–」に関連して、トーク「みんなは、どうする?」を開催しました。
本展でディレクターを務めたWOWから大内裕史、加藤 咲、白石今日美の3名が登壇し、21_21 DESIGN SIGHT館長の佐藤 卓とともに、本展の制作背景、全体の構成や展示作品一点一点の紹介、また各々の防災への考え方やこれからの防災について語り合いました。

本展では、特設サイト「みんなは、どうする?」webにアクセスし、会場内に散りばめられた10の問いに答えていくことで、防災を「自分ごと」として捉えることのできる構成となっています。本トークイベントにおいても、参加者に問いを投げかけるという、本展ならではの仕組みを取り入れました。トークは各問いの順に沿って進行し、展示内容の紹介を中心に展開されましたが、合間で防災に関する4つの質問が参加者に投げかけられます。参加者は本トーク限定のサイトから自身のスマートフォンで回答することができ、回答は、個人が特定されない形でリアルタイムでモニターに投影されます。参加者の考えがその場でビジュアライズされ共有されることで、双方向のコミュニケーションを通じてトークが展開されました。

投げかけられた問いは次の4つです。
・友達と防災の話、したことある?
・どんなときに地震が来たら困る?
・防災アプリ、スマホに入れてる?
・防災バッグ、いつごろ見直した?
2つ目の問いに対して参加者からは、入浴中、旅行中、エレベータの中、地下鉄、美容室、歯医者での治療中、などいろいろな回答が出てきました。人口の多い都市部では、エレベータや地下鉄に閉じ込められ救助されるまで何時間も過ごさなければならないような事態が想像されます。WOWの3名は、本展の準備期間中に各々携帯トイレを購入したと話しました。加藤は、もしもの事態を一回でも想像してみることが心の備えにつながるといい、一度自分自身で考えたという経験をもつことが、大切なのではないかと話しました。

2025年7月4日、いよいよ企画展「そのとき、どうする?展 –防災のこれからを見渡す–」が開幕します。
自然災害はいつどこで発生するか、確実にはわかりません。しかし災害から目を背けなければ、今やるべきことや、考えるべきことが見えてくるのではないでしょうか。
本展では、そもそも災害とはなにかという視点から、データビジュアライゼーションをはじめとしたリアルな状況把握や、防災に関するプロダクト、災害をきっかけに生まれたプロジェクトなど、人々が直面してきた自然災害とその周辺を広く見つめ直します。そのうえで、改めて向き合いたい、いくつもの「問い」を会場に散りばめます。あらかじめ想像しておけば、未来は少し変えられるかもしれません。
ここでは会場の様子を写真で紹介します。




柴田大平「防災グラデーション」

siro+石川将也「そのとき、そのとき、」

日本郵便株式会社+寺田倉庫株式会社「防災ゆうストレージ」

バリューブックス「ブックバス」


トラフ建築設計事務所+石巻工房「Maker Made Since 2011.3.11」

WOW「みんなは、どうする?」

WOW「みんなは、どうする?」

佐竹真紀子「Seaside Seeds」「風景のつづき」「おばちゃんコーヒーはじめました」

津村耕佑「FINAL HOME」

中村至男「21_21 DESIGN SIGHTの防災」

veig「蒸庭」
撮影:木奥恵三/Photo: Keizo Kioku