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フォトドキュメント「深澤直人、東北へ」
Vol.5 日向ぼっこをするように暖かい、生ゴム100%の「ボッコ靴」
この日深澤が訪れたのは、生ゴム100%の「ボッコ靴」を手づくりするKボッコ株式会社。もともと、りんごの剪定に携わる人々やマタギが、雪山で足を冷やさないようにつくられた靴だが、現在は北海道から九州まで、日本全国から注文が相次ぎ、予約は1年待ちという。
お話を伺ったのは、社長の工藤勤さん。30年前までつくられていたボッコ靴。毎年冬になるとお客様から問合せがあり、「そんなに良いものなのか」と、子どもの頃の記憶や当時の職人さんの助けを得て、10年ほどの研究期間を経た7年前に復刻した。昔の倉庫から、靴型や道具も見つかった。
深澤は、早速一足手に取り、試着することに。
「この短さがかわいらしい。とても魅力的。全国にその魅力が伝わるのが良くわかる」(深澤)。リボン状のパーツは、かんじきを装着するためのもの。
店奥の作業場で、制作プロセスを見せて頂く。
ゴム板を鋏で裁断し張り合わせる作業は、昔のままの手仕事。店の切り盛りの合間に、一日一足のペースでお一人でつくり続けている。片足分で20数パーツあり、ほとんど端材が出ないそう。場所によってゴム板が2-3枚重なるので、とても暖かく、「ボッコ靴」の由来は、「日向ぼっこ」が主流の説という。
「全部板材でつくられているところが良いですね。静かに仕事をされている、そのプロセスと哲学を、展覧会でも伝えたいと思います。」(深澤)
工藤さん、ありがとうございました!
店頭には、息子さんが工作でつくられた、ミニチュアのボッコ靴も。
Photo: Masako Nagano
フォトドキュメント「深澤直人、東北へ」
Vol.1 青森のホームセンター
Vol.2 色と香りが増す、りんごの木箱
Vol.3 叩いて鍛える、津軽打刃物
Vol.4 撒いた菜種に漆がのぼる、津軽「ななこ」塗り
Vol.5 日向ぼっこをするように暖かい、生ゴム100%の「ボッコ靴」