contents
活動のデザイン展 (32)
現在好評開催中の「活動のデザイン展」より、展示作品の一部を映像で紹介します。実際の作品を、21_21 DESIGN SIGHTでぜひお楽しみください。
アトリエ ホコ「フィックスパーツ」
「修復と改良」を奨励し、人々の身の周りの問題を解決していく「フィックスパーツ」プロジェクト。会場では、国内外6組による新作を実物と映像でご紹介しています。
牛込陽介 「プロフェッショナル・シェアリング:シェアの達人」
シェアリング・エコノミー(共有型経済)の発展により、個人のあらゆるリソースを売買できる世界を想定し、「シェア」を生業とするプロ・シェアラーの姿を通して、今日喧伝されている「シェア」の概念に問いを発します。
2015年1月17日、「活動のデザイン展」参加作家、ホンマタカシとマイク・エーブルソンに、グラフィックデザイナーの長嶋りかこを加え、トーク「『視点の転換』のたのしさ」を開催しました。
はじめに各々が自らの活動について紹介しました。
ホンマの本展展示作品「カメラ・オブスキュラ・スタディ ― 青山→六本木、建築で建築を撮る」は、自身が近年続けている「カメラ・オブスキュラ」に対するリサーチの一環でもあります。部屋全体をカメラ化し、そこから覗く風景に映る偶然性をも作品化します。出展作品を含め、その制作プロセスを語りました。
続いて、マイクは人間の手が身体と道具を一体化にさせることについて、テニスラケットを例に挙げつつ、本展展示作品「考える手」は道具と身体の可能性をはかるリサーチが基になっていると述べました。また、日常の視点を変えてみることに対し、車輪の跡から着想を得たノートの制作について語りました。
長嶋は、近年の服づくりを紹介し、ひとから与えられたものを着るのではなく、着る側が様々な解釈をもてるような服を、従来の既製品のサイクルでなく、ひとの気分のサイクルにのれるような服づくりを心がけていると述べました。
後半は、3人が互いに質疑応答する形式となり、ホンマは「リサーチを進めていくうちに自然と表現となる」と話すと、一方で長嶋は「ものが生まれる理由の必然性があるものが良いデザインである」と述べ、主観から離れてものの本質に向き合うこと、さらにはその中で生じる偶発的な出来事も取り込むことが「視点の転換」に繋がるのではないかと示唆に富んだ内容となりました。
2015年1月12日、建築家で「活動のデザイン展」参加作家でもある長坂 常と大西麻貴+百田有希/o + hによるトーク「建築家の視点と『活動のデザイン』」を開催しました。
本展で、修理・修繕することで誰かの課題を解決する「フィックスパーツ」に参加した長坂は、このプロジェクトでは、まず「建築家として自分のカラーを主張することを求められているのではない」自分の立ち位置について考えたと話し、他人の課題との出会いから、展示している「ムーヴァブル・シェルフ」ができるまでの過程を解説しました。
続いて、大西麻貴+百田有希/o + hも、それ自体が鑑賞されるというよりも、会場に置かれた他作品の見え方を変える仕掛けとして、作品で会場構成に関わる意図で「望遠鏡のおばけ」「長い望遠鏡」をつくり始めたという話から、今回の作品につながるこれまでのプロジェクトや制作の様子を、写真やスケッチを紹介しながら説明しました。
対談はこの日が初めてという長坂とo + hの二人がそれぞれの仕事場を紹介しながら、どちらも元々ガレージがあった場所を、通りや街に開いた空間として使っているという共通点で話が盛り上がりました。長坂が「色々なノイズがある中で、どう社会と接していくかというところに可能性を感じる」と語ると、o + hの二人も「街と繋がり、その関係を続けていく」「外と内が続く場所で、問題に出会うことが解決の第一歩」と応じ、予め結論を決めてしまうのではなく、そのつど関係性のなかで前向きに互いの距離を探りながら課題を解決していくことの重要性など、ものづくりに対する姿勢にも両者の共通点が見えるトークとなりました。
2014年12月、桑沢デザイン研究所 デザイン専攻科 ビジュアルデザインコース授業「制作の現場」(担当:川畑明日佳先生)の川上典李子による特別校外講義として、同コースの学生約70名が来館し、「活動のデザイン展」会場内で授業が行われました。
「活動のデザイン展」ディレクターの一人である川上による150分の授業では、前半は実際の展覧会場にて、企画背景や作品制作の経緯などと合わせて各作品のコンセプトが紹介され、後半は閉館後の会場に椅子を並べ、展覧会制作背景について、具体的なアイディア出しの様子や、どのように展示作品を決定したかなど、裏話を交えながらその大変さとおもしろさについての講義になりました。
川上は、この展覧会で展示している作品は、世界中で起こっているさまざまな活動のほんの一部に過ぎないが、来館者の方が、きっかけを見つけて各々が話題にしたり、さらに考え、行動してくれることが大切だと語りました。 また展示作品の一つ一つを深く読み込んでいくことで見える社会の動きは、私たちの政治、経済を考えることにもつながります。身近なことに目を向けること、また未来の社会に目を向けることにも、デザインの力は深く関わっているという川上のコメントに対し、桑沢デザイン研究所の川畑先生は「デザインの力を、世界をよくするために活かしてほしい」と、卒業を控える学生に向けての強いメッセージで講義を締めくくりました。
現在開催中の企画展「活動のデザイン展」。本展ディレクターや多彩なプロジェクトを展開する参加作家から、本展へ寄せられたメッセージを通じて、展覧会やそれぞれの活動により深く触れてみてください。
Q. 展示作品について説明してください。
A. 今日爆発的に流行しているシェアリング・エコノミー(共有型経済)と呼ばれるサービス群が私達の生活の隅々にまで入り込んだ世界を想像している作品です。
Q. 本展のサブタイトルは「Hints of the future in a shifting world/変容する世界の未来のためのヒント」です。あなたはそれらのヒントを、どこから得ていますか?
A.
ヒントを得るために特に決まったルーティンを持っているわけではありません。むしろ、先人達の作品、ニュース、Twitter、Wikipedia、会って話をする友人たちなど、見たもの聞いたもの体験したものをなんでも関連させてみることで、変わり続ける世界を常に複眼的に捉えるようにしています。画像は木村恒久さんのフォトモンタージュです。現代的・人工的な都市と全く別のものを組み合わせることで示唆に富んだビジュアルを創りだす作品群は常にインスピレーションで在り続けています。
開催中の企画展「活動のデザイン展」に関連して、本展参加作家 ジョセフィン・ヴァリエのインタビューが、『ソトコト』1月号に掲載されました。
また、ウェブサイトでもインタビューの一部が紹介されています。
>>『ソトコト』ウェブサイト
開催中の企画展「活動のデザイン展」に関連して、本展参加作家 マスード・ハッサーニのインタビューが、『BRUTUS』791号に掲載されました。
現在開催中の企画展「活動のデザイン展」。本展ディレクターや多彩なプロジェクトを展開する参加作家から、本展へ寄せられたメッセージを通じて、展覧会やそれぞれの活動により深く触れてみてください。
現在開催中の企画展「活動のデザイン展」。本展ディレクターや多彩なプロジェクトを展開する参加作家から、本展へ寄せられたメッセージを通じて、展覧会やそれぞれの活動により深く触れてみてください。
Touch is more certain and less vulnerable to error than vision.
-Rene Descartes
Juhani Pallasmaa, "The Eyes of the Skin" (2005) 19ページより
Ears reveal sounds to us. Eyes check on the sound and tell us what the surface of something looks like at a distance. But our eyes and ears are easy to fool with photographs and movies.
When we see a shape but still cannot tell if it is real, we instinctively extend a hand to find out if what the eyes see matches what our hands will feel. The hand is the ultimate authority, a double check on reality. If the eyes are snap judgement, the hands are the Supreme Court (Saiko Saiban-sho)
The skin is the largest organ (kikan) of the body. We are covered by skin sensing temperature, wind, weight and the textures of objects. We constantly cross-reference what our eyes see, our ears hear and what our skin senses the way a tripod's three legs create stability.
Five antennae on each hand. Through these 10 antennae we experience objects used close to the body. A necklace, a bag, and a wallet are things we touch many times everyday and are known best by touch. When I design a bag or a wallet, I make them as much for the eye as I do for the body and the hand. A shape might look square, but a tiny curve that the eye might miss is understood when touched. The eye might not be able to see these details but the hands do.
現在開催中の企画展「活動のデザイン展」。本展ディレクターや多彩なプロジェクトを展開する参加作家から、本展へ寄せられたメッセージを通じて、展覧会やそれぞれの活動により深く触れてみてください。
Q. 展示作品について説明してください。
A. 製麺所を経営する家族。機械操作はお父さんしか知らず、お母さんは機械が苦手。機械に対して、ネガティブからポジティブへ変えるきっかけのかるた遊び。
Q. 本展のサブタイトルは「Hints of the future in a shifting world/変容する世界の未来のためのヒント」です。あなたはそれらのヒントを、どこから得ていますか?
A. (下の画像をクリックすると、詳細pdfがご覧になれます)
2014年12月、文化服装学院ファッション高度専門士科1年生のみなさんが、「活動のデザイン展」の鑑賞を経てディスカッションした内容を、翌週の授業で班ごとにプレゼンテーションしました。
先生が設定したプレゼンテーションのテーマは2つ。「1.『デザインとは?』展覧会を見る前と後で考えが変わったか」「2.身近にある改善したいことを見つけて解決策を考える」。
1については、「活動のデザイン展」を見たことで、これまでの考えとは違って「形のないこと」「誰かのために何かをすること」「感情に働きかけること」「コミュニケーション」「マイナスなことから発想して新しい役割をつくる」などもデザインであることがわかったという意見が多くありました。
2の例として、「便利なコスメ」「満員電車の不快感」「視覚障害者のための点字ブロック」など日常的な問題点から、「ゴミを活用したバッグ」「作図をスムーズにするためのツール」「針が埋もれない針山」といった服飾を学ぶ学生ならではの様々な案が発表されました。
「活動のデザイン展」を見ることが、新しい視点を持つきっかけになり、ディスカッションを経て次のステップに活かせる授業となりました。21_21 DESIGN SIGHTでは、今後もこのように授業に活用いただける機会をつくっていきたいと思います。
現在好評開催中の「活動のデザイン展」より、展示作品の一部を映像で紹介します。実際の作品を、21_21 DESIGN SIGHTでぜひお楽しみください。
マスード・ハッサーニ 「マイン・カフォン」
幼少時代の体験をもとにつくられた地雷撤去装置。発想の源になったペーパー・トイや、制作背景の映像も展示しています。
アルマ望遠鏡プロジェクト/ 国立天文台+PARTY+Qosmo+エピファニーワークス
「ALMA MUSIC BOX: 死にゆく星の旋律」
南米チリに展開する「アルマ望遠鏡」が捉えた観測データをもとにつくられたオルゴール。死にゆく星「ちょうこくしつ座R星」の70の物語を、音と映像で、日替わりでお楽しみいただけます。
現在開催中の企画展「活動のデザイン展」。本展ディレクターや多彩なプロジェクトを展開する参加作家から、本展へ寄せられたメッセージを通じて、展覧会やそれぞれの活動により深く触れてみてください。
(企画展「活動のデザイン展」会場内作品解説パネルより)
写真の原理そのものに興味を持つ写真家のホンマタカシは、カメラを通して視線の転移や逆転が生み出すコンテクスト(文脈)を作品化します。
撮影の仕組みも見てとれるこの作品は、青山地区のホテルの一室をまるごと露光装置として使い、窓を黒紙で覆いつくし、写真技術の原型であるカメラ・オブスキュラ(「暗い部屋」の意味)にして、六本木方面を撮影したもの。
アナログな制約の多い手法で数日間、天候や外光に左右されながら撮影された写真には、カメラの延長線上としての身体的体験や、技術ではコントロールしきれない感覚的なトーンのおもしろさが現れます。スマートフォンの普及により、私たちの日常には、便利で簡単に撮影できる進化したカメラや小型化された映像デバイスで溢れていますが、ホンマは建築物をカメラ化するという方法で、街中すべてがカメラになりうるという逆説的な仮説をたてて、革新する技術とは対極的で原初的な手軽さや、写真のたのしさを伝えています。
現在開催中の企画展「活動のデザイン展」。本展ディレクターや多彩なプロジェクトを展開する参加作家から、本展へ寄せられたメッセージを通じて、展覧会やそれぞれの活動により深く触れてみてください。
2014年12月6日、「天文学とデザイン――『星の旋律』を聞くプロジェクト」を開催しました。
はじめに、国立天文台チリ観測所の平松正顕がアルマ望遠鏡について解説。光ではなく、目に見えない電波を通して宇宙や星のデータを観測するアルマ望遠鏡は、世界22ヶ国の国際協力プロジェクトとして、南米チリの標高5000mの場所に設置されています。
続いて、ともに宇宙好きというPARTYの川村真司とQosmoの澤井妙治が、データを生かし、人の五感や感情に訴える作品づくりについて語りました。川村は、円形に靄がかかったデータを忠実にオルゴールのかたちに落とし込むという考え方、澤井は、感情がわきあがるような余白のある音の制作について紹介しました。二人は、オルゴールを解体して構造を学んだことや、回転スピードのシュミレーションを重ねたこと、そしてアクリルのディスクをレーザーカッターで手づくりしたプロセスについて説明しました。
今回の作品のモチーフとなったのは、「ちょうこくしつ座R星」。天文学者の役割とは宇宙や星の物語を描ききることだと語る平松に、川村と澤井は、ぜひオルゴールをアルマ望遠鏡のあるチリに持っていきたいと応じました。
現在好評開催中の「活動のデザイン展」より、展示作品の一部を映像で紹介します。実際の作品を、21_21 DESIGN SIGHTでぜひお楽しみください。
DNAシャロアー&クリスティン・メンデルツマ/ヴァンスファッペン
「ロースさんのセーター」
一人のオランダ人女性によって編み続けられた500枚以上のセーターのうち、60枚を展示。すべてのセーターを記録したクリスティン・メンデルツマデザインの本の全ページもご覧いただけます。
スタジオ スワイン 「カン・シティ」
アルミ缶や屋台の廃油など、ブラジルにある廃材だけを使ってつくられた椅子。ものづくりのサイクルを考察した作品です。
2014年11月29日、織咲 誠と谷尻 誠によるトーク「線の引き方で世界はどう変わる?!」を開催しました。
社会とのデザインの関係を線のあり方で考察する「ライン・ワークス ― 線の引き方次第で、世界が変わる」を出展する織咲。お金をかけず、ものを使わないで機能を変えていく試みとして、自らリサーチを行う彼は、アフガニスタンでの石の上に引いた線で地雷を認識させる地雷標石など、いくつかの例を語り、線による関係性、様々な関係性を見つけていくのがデザインであると述べました。そこに谷尻は、ほとんどのものがつくり手の都合で徐々に効率的になっていったが、それに属さないものとの関わりによって、ものをつくっていくことがこれからのデザインではないかと続き、織咲の活動の意義に触れました。
その後社会一般に話は及び、谷尻は、一見して便利な世の中であるため疑うことがないが、機能性だけに捉われず、ある種ムダなものをも交えた関係性や人々の能動性を促す不便さも必要であると語りました。出展作品に対し、「自分の頭で考えて欲しい」とあえてその多くを語らなかった織咲しかり、世の中の仕組みを各々が俯瞰し、世界をどう見据えるかが、それぞれの立場で語られる内容となりました。
東京・青山のカナダ大使館 E・H・ノーマン図書館では、企画展「活動のデザイン展」に合わせ、本展に出展しているバンクーバーを拠点に活躍する小説家・美術家・デザイナーのダグラス・クープランドのミニ・コーナーが設置されています。
図書館はどなたでも無料でご利用いただけます。ぜひお立ち寄りください。
>>カナダ大使館 E・H・ノーマン図書館ウェブサイト
2014年11月8日、takram design engineeringの田川欣哉と渡邉康太郎、Kaz米田、牛込陽介によるトーク「未来をクリティカルに問う活動」を開催しました。
ロンドンを拠点にデザイナーとテクノロジストとして活動する牛込は、自身が発表してきた作品がメディアアートの枠組みで評価されることに疑問を持ち、テクノロジーの視点から生活や社会に影響を与えたいとクリティカルデザインを学びました。今回の展示作品「ドローンの巣」と「シェアの達人」をはじめ空想と思索から生まれる世界観そのものをデザインして提示する作品について解説しながら、思い込みを覆し、外の世界に一歩踏み出すアプローチの大切さを語りました。
takram design engineeringの渡邉は、これまでの作品を振り返りながら、思考の枠組みの持ち方の重要性について語りました。Kaz米田は、100年後の荒廃した世界における人間と水との関係を問い直すことから生まれた展示作品「Shenu:百年後の水筒」について、田川は、乾燥地帯に生息する動物の臓器の仕組みの研究から生まれた人工臓器について語りました。
問題解決以前の問題発見に重点を置き、社会と人間の関係を問い続けることでイノベーションの種を見つける、そんな新しい時代のデザインの態度について語り合うトークとなりました。
2014年10月29日午前、来日中のオランダ王国のウィレム・ アレキサンダー国王陛下および同王妃陛下が「活動のデザイン展」を見学されました。
21_21 DESIGN SIGHTディレクター 三宅一生と青柳正規文化庁長官の案内のもと、本展ディレクターの川上典李子、横山いくこ、出展作家のイーヴォ・ファン・デン・バール(ヴァンスファッペン)、マスード・ハッサーニ(共にオランダ)、タクラム・デザイン・エンジニアリング(日本)が説明を行いました。
撮影:吉村昌也
2014年11月2日、参加デザイナーのジョセフィン・ヴァリエを迎えたトーク 「天然酵母と"経験のデザイン"」を開催しました。
はじめに、ジョセフィンが自らのエクスペリエンス・デザイナーとしての活動を語りました。食べ物を媒介に、人々、場所、オブジェクトを結びつける新たなプラットフォーム、体験、プロセスをデザインする彼女は、4年前より天然酵母、そのなかでもサワードウと呼ばれる酵母の収集をスウェーデンで開始。収集にあたり、「送った酵母にまつわる価値をつけてください」と送り主に呼びかけ、酵母とともに、それぞれにまつわる物語を、個人やパン屋と共同しながらシェアするプロジェクトを続けています。また今年に入り、日本での天然酵母集めも開始し、その一部とスウェーデンでのアーカイヴを「リビング・アーカイヴ」として展示をしています。ジョセフィンは日本の天然酵母がサワードウ以外にも多岐にわたっていることに感銘を受け、今後の天然酵母プロジェクトについて、より広がりを持ったものにしたいと語りました。
続いて「リビング・アーカイヴ」に参加しているパン屋「タンネ」(浜町/人形町)よりマーティン・ブフナーがサワードウを用いたパンのつくり方について語りました。マスター・ベーカーの称号を持つ彼は「適切温度を保ち、生地の固さを安定させ、その生地に期間を設けて寝かせる」ことが最も重要であると述べ、専門家の立場よりサワードウの奥深さについて語りました。
最後に「リビング・アーカイヴ」の酵母提供者の坪田大佑氏が登壇し、自身が天然酵母づくりを行うようになったことや、自ら主催するパンづくりのワークショップの模様を語りました。
パンづくりを介していながらも三者三様でアプローチが異なり、トークはパンを媒体としたコミュニケーションの多様さを知ることのできる内容となりました。
2014年11月1日、イーヴォ・ファン・デン・バール(ヴァンスファッペン)とマスード・ハッサーニによるトーク「オランダのデザイン ― デザインと社会の広がる関係」を開催しました。
ニコル・ドリエッセンとヴァンスファッペンを設立したファン・デン・バールは、ロッテルダム南部の病院を改装したスタジオを拠点にさまざまな作品制作に取り組む一方、160ヶ国からの移民を抱えるシャロワー地区の住民たちとともに、地域密着型のプロジェクト「DNA シャロワー」を展開しています。
プロジェクトの第1弾となったのが、本展のポスター写真にもなった「ロースさんのセーター」。デザイナーのクリスティン・メンデルツマとロッテルダム市立美術館との恊働で、誰も袖を通すことのなかった560枚に及ぶロースさんのセーターは、本と映像を通して、世界中の人々に知られるようになりました。
アフガニスタン出身のマスード・ハッサーニは、子どもの頃に暮らしたカブール郊外での体験からトークをスタート。諸外国が残して行った地雷に囲まれたもと軍用地の校庭では、脚を失った子どもにも出会ったと言います。子どもの頃に自らつくって遊んだというおもちゃを発想源にした地雷撤去装置について、その開発と実験、検証のプロセスを交えて語りました。
ハッサーニの作品は、ニューヨーク近代美術館に注目されたことから、各国のメディアで取り上げられるようになりました。地雷が無くなれば、豊富な地下資源を利用して、世界で最も豊かな国のひとつになるというアフガニスタン。ハッサーニは、さまざまな活動を通して、プロジェクトへの理解と支援を訴えています。
日常の中の小さな気づきがデザインを生み、ひとつひとつの丁寧な積み重ねで地域や社会の問題解決の糸口が見つかる、そんなヒントに満ちたトークとなりました。
2014年10月25日、参加デザイナーのアルヴァロ・カタラン・デ・オコン、ヒューマンズ シンス 1982、牛込陽介を迎えたオープニング・デザイナー・リレートーク「活動のデザイン」を開催しました。
はじめに、アルヴァロより「ペット・ランプ」が語られました。この作品はペット・ボトルに地域の伝統的な手仕事を合わせることによって生まれるランプシェード。南米コロンビアより制作を始めたというアルヴァロは、現地で川から海に流れていく廃棄されたペット・ボトルを目の当たりにし、グローバルな環境問題をデザイナーの視点から汲み取ることによってこの作品を生み出したと述べました。そしてヒューマンズ シンス 1982は、384個のアナログ時計をプログラミングし、詩的な表情を与えた「ア・ミリオン・タイムズ」の制作に至るまでの背景について語り、「デザインの機能性よりも、そこに驚きがあるかどうかに重きをおいている」と続きました。また牛込は「個人の持っている資産を他者とシェアする」ことでもたらされる未来を描いた「プロフェッショナル・シェアリング:シェアの達人」について述べ、さらに自身が関わっているスーパーフラックスの作品「ドローンの巣」の紹介にうつり、役割をもった無人飛行物体(ドローン)が予見する未来像について語りました。
そして、トーク後半は本トークのモデレーターのであり、「活動のデザイン展」のディレクターである川上典李子、横山いくこを交えクロストークを行いました。環境問題、ビックデータ、手仕事の継承、これからの予見される未来など、展覧会の作品それぞれのトピックは多岐に渡っており、デザインが担う多様な役割を伺い知ることができる貴重な機会となりました。
いよいよ開幕を明日に控えた「活動のデザイン展」。変動する世界における未来へのヒントに満ちた会場の様子を、いちはやくお届けします。
展覧会ディレクターの川上典李子と横山いくこによるギャラリーツアーを開催します。参加作家の特別参加も予定。ぜひご来場ください!
展覧会ディレクターによるギャラリーツアー
日時:11月1日(土)・2日(日)16:00-17:00、3日(月祝)14:00-15:00
場所:21_21 DESIGN SIGHT
>>詳細はこちら
撮影:吉村昌也
10月24日より開催!「活動のデザイン展」
展示作品紹介 vol.6
2014年10月24日より開催される「活動のデザイン展」。変動する世界における未来へのヒントに満ちた本展から、展示作品の一部をご紹介します。
「ドローンの巣」
Superflux
役割をもった無人飛行物体(ドローン)が、頭上を自由に飛び回る将来、人の生活はどのように変化するのでしょうか。新作のドローンを紹介し、今後の社会を考察する作品です。
「Shenu:百年後の水筒」
takram design engineering
水を得ることが難しくなった100年後の地球を想定し、人工臓器を提案。映像とともに展示します。
Superfluxアソシエイトの牛込陽介と、takram design enginieeringがトークに出演します。
トーク「未来をクリティカルに問う活動」
日時:11月8日(土)14:00-15:30
場所:21_21 DESIGN SIGHT
>>詳細はこちら
2014年10月24日より開催される「活動のデザイン展」。変動する世界における未来へのヒントに満ちた本展から、展示作品の一部をご紹介します。
「マイン・カフォン」
マスード・ハッサーニ
アフガニスタン出身で、現在はオランダに拠点を置く作家の、幼少時代の体験をもとにつくられた地雷撤去装置。発想の源になったペーパー・トイや、制作背景の映像も展示します。
マスード・ハッサーニがトークに出演します。
「イーヴォ・ファン・デン・バールとマスード・ハッサーニによるトーク」
日時:11月1日(土)14:00-15:30
場所:21_21 DESIGN SIGHT
>>詳細はこちら
2014年10月24日より開催される「活動のデザイン展」。変動する世界における未来へのヒントに満ちた本展から、展示作品の一部をご紹介します。
「リビング・アーカイヴ」
ジョセフィン・ヴァリエ
スウェーデンと日本からパンを焼くための天然酵母を集め、その酵母にまつわる個々のストーリーや知識をアーカイヴし、展示によって共有することを試みるプロジェクト。近隣のパン屋さんとのコラボレーションも行います。
ジョセフィン・ヴァリエがトークに出演します。
「ジョセフィン・ヴァリエによるトーク」
日時:11月2日(日)14:00-15:30
場所:21_21 DESIGN SIGHT
>>詳細はこちら
2014年10月24日より開催される「活動のデザイン展」。変動する世界における未来へのヒントに満ちた本展から、展示作品の一部をご紹介します。
「ア・ミリオン・タイムズ」
Humans Since 1982
384個の時計が並んだ作品。プログラミングされた針は、規則的な動きの中から言葉や数字を紡ぎだします。
Humans Since 1982がトークに出演します。
オープニング・デザイナー・リレートーク「活動のデザイン」
日時:10月25日(土)14:00-16:00
場所:21_21 DESIGN SIGHT
>>詳細はこちら
「望遠鏡のおばけ」
大西麻貴+百田有希/o + h
望遠鏡を使った、視点を変える装置。新たな発見と驚きを与える作品です。
大西麻貴+百田有希/o + hの「視点を変えるイス」が、東京ミッドタウンの芝生広場に登場します。
デザインタッチ2014「スワリの森」
日時:2014年10月17日(金)- 11月3日(月祝)11:00-18:00 ※雨天中止
場所:ミッドタウン・ガーデン 芝生広場
>>詳細はこちら
「Line Works - 線の引き方次第で、世界が変わる」
織咲 誠
「線の引き方」に着目して継続されているリサーチを、約40事例紹介します。
織咲 誠がトークに出演します。
「織咲 誠と谷尻 誠によるトーク」
日時:11月29日(土)14:00-15:30
場所:21_21 DESIGN SIGHT
2014年10月24日より開催される「活動のデザイン展」。変動する世界における未来へのヒントに満ちた本展から、展示作品の一部をご紹介します。
「ペット・ランプ」
アルヴァロ・カタラン・デ・オコン
廃棄されたペットボトルを用い、コロンビアとチリの伝統的な素材と手法で編み上げられたランプシェード。制作の手法は日本の茶筅から発想を得ています。
アルヴァロ・カタラン・デ・オコンがトークに出演します。
オープニング・デザイナー・リレートーク「活動のデザイン」
日時:10月25日(土)14:00-16:00
場所:21_21 DESIGN SIGHT
>>詳細はこちら
東京ミッドタウンのデザインタッチ・カンファレンスにも出演します。
21_21 DESIGN SIGHT特別講義「PET Lampに見る"活動のデザイン"」
日時:10月26日(日)15:30-17:00
場所:東京ミッドタウン・カンファレンス(ミッドタウン・タワー4F)
>>詳細はこちら
2014年10月24日より開催される「活動のデザイン展」。変動する世界における未来へのヒントに満ちた本展から、展示作品の一部をご紹介します。
「ロースさんのセーター」
DNA Charlois(ディーエヌエー シャロアー)&クリスティン・メンデルツマ/Wandschappen(ヴァンスファッペン)
展覧会ポスターのビジュアルにもなっている、「ロースさんのセーター」。
一人のオランダ人女性によって編み続けられた500枚以上のセーターのうち、60枚を展示します。また、これまでの全セーターを記録したクリスティン・メンデルツマデザインの本とあわせて販売し、プロジェクトの映像も紹介します。
Wandschappenのイーヴォ・ファン・デン・バールがトークに出演します。
「イーヴォ・ファン・デン・バールとマスード・ハッサーニによるトーク」
日時:11月1日(土)14:00-15:30
場所:21_21 DESIGN SIGHT
>>詳細はこちら
2014年10月24日より開催される「活動のデザイン展」。変動する世界における未来へのヒントに満ちた本展から、展示作品の一部をご紹介します。