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ギャラリー3 (60)
ギャラリー3では、2024年10月25日(金)から11月24日(日)まで「Ronan Bouroullec: On Creative Session」を開催しています。
2013年にスタートしたブランド、HOMME PLISSÉ ISSEY MIYAKE(オム プリッセ イッセイ ミヤケ)は、イッセイミヤケを代表する技法のひとつである「製品プリーツ」を背景に、着る人の多様性に寄り添う、普遍的で新しい日常着を提案しています。シワにならず、乾きやすく、軽やかな着心地を実現したプロダクトとしての衣服は、身体に馴染み、着る人の個性を引き出します。
デザイナー/アーティストのロナン・ブルレックは、家具、照明、空間、建築や展示など幅広い分野において、世界中の美術館やデザイン界に高く評価されていいますが、デザイナーとしての活動のほかに、日常生活の一部(ライフワーク)としてドローイングを続け、デザイン活動のインスピレーションとなっています。
本展は、HOMME PLISSÉ ISSEY MIYAKEがパリで発表した2024/25年秋冬コレクションアイテムを製作するプロセスと、ロナン・ブルレックの創作活動、二つのものづくりに焦点を当てた動画で構成されています。
会場は5つのゾーンに分かれています。1つ目に出会うのは、「プレス加工とドローイング」。折りたたんだまま、位置を工夫してシャツに転写したドローイングが、着用時に思いもよらぬ形で現れるシャツのプロセスです。同じゾーンの「プリーツとドローイング」では、ドローイングの余白を衣服の形に活かし、プリーツ素材の特徴が原画の動的な要素を引き立たせる様子が見られます。映像はプリーツの工房の様子です。
2つ目のゾーンは、「刺繍、ゴブラン織とドローイング」。ブルレックのドローイング作品から、ボールペンで描かれたシリーズの線の豊かさをテキスタイル上で表現するため、刺繍とゴブラン織でそれぞれ製作したプロセスから、試作を見ることができます。映像は刺繍工場です。
3つ目は、「シルクスクリーンプリントとドローイング」です。原画の色彩を表現する技法の一つとして用いたシルクスクリーンプリントで、実際に使用した版の一部とともに、試行錯誤した色合いのプロセスと、染色工場の映像が展示されています。
4つ目の「ブルレック氏のドローイング」では、ここまで見てきた衣服との取り組みの原画に立ち戻ります。散歩をするように毎日描かれ、目的や完成イメージもないというドローイングの数々と、アトリエの日常を映像で見ることができます。
最後は、映像「Ronan Bouroullec: On the Wilds of Creativity」です。各地での製作の様子とともに、この協業についてブルレック自身が語る言葉を聞くことができます。
ブルレックという個人の作品の力が、企業のどのような考え方で、どういう手法によって製品になるのか、また新しい魅力を作り出すために、お互いがどのように敬意を持ってものづくりを行うのか。壁面にディスプレイされた、協業の結果として実際に販売された美しい衣服たちを見ながら、ぜひ会場で想像を巡らせてみてください。
©︎ ISSEY MIYAKE INC. 撮影:吉村昌也
2024年9月21日、21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3「六本木六軒:ミケーレ・デ・ルッキの6つの家」の開幕に合わせて来日したミケーレ・デ・ルッキにより、特別なギャラリートークを開催しました。
来場者とともに作品を囲みながら、今回の展示が自身の出身であるイタリアと日本の架け橋となり、それぞれ異なる文化の中にも共通点があることを伝えます。風通しや移りゆく光、外と中の関係、建築とインスタレーション、永遠と一時的、イタリアと日本など、創造における対比と共生の大切さを表現したとデ・ルッキは話します。
21_21 DESIGN SIGHTが位置する六本木という地名との偶然の一致を知り、ROPPONNGI ROKKENと名付けた本展では、6つの家「ロッジア」を展示しています。そのうち3つは木製で、3つはブロンズで制作されています。この2つの伝統的な素材は、古くから人々の生活を支える文明の基盤となったマテリアルです。木は空に向かって伸びる木々の生命から生まれた有機的な素材であり、ブロンズは地球の奥深くに眠る鉱物でもあります。根源的な素材と向き合うことで、先人たちの思いを未来へ繋ぐように、自らの手を通しながら作品へ込めました。
展示空間の直線的な要素に呼応するように制作された有機的な土台は、すべて手作業で制作されました。天然のオーク材に伝統的な手法で酢を塗ることで、経年変化とともに深い黒色になります。人類が自然と共生しながら続く未来への時間を表現しました。
来場者に向けて、デ・ルッキは次のように語りかけます。「私の仕事はデザインすることであり、デザインすることは全身全霊で未来に飛び込むことを意味します。ですから私が唯一できることは、不安や心配のない未来について想像することだけです。私は楽観的になることが大切だと思います。だからこそ自分自身にも、そして皆さんにもこう言いたいのです。未来について悲観的に考えることは、何の意味もありません!LET'S BE HAPPY(幸せになりましょう!)」
会場からの質問にも答えながら、デ・ルッキ自身が伝えたかった制作活動における哲学や未来へのビジョン、そしてメッセージ「LET'S BE HAPPY(幸せになりましょう!)」を、こどもから大人まで、様々な来場者と分かち合う機会となりました。
Photo by Kotaro Tanaka
ギャラリー3では、2024年9月20日(金)から10月14日(月・祝)まで「六本木六軒:ミケーレ・デ・ルッキの6つの家」を開催しています。
ミケーレ・デ・ルッキは、イタリアに生まれ、1970〜80年代には前衛的なデザイナー集団「アルキミア」、「メンフィス」の中心的人物の一人として活動したのち、世界的に建築や家具を手がけてきました。一方で、20年以上にわたり、手を動かしてドローイングや絵画、木彫の制作に取り組み、それが建築形態の本質を追求する原動力になってきたと言います。
会場のエントランスには、デ・ルッキ自身が木材を切ったり、職人がブロンズの鋳造や台座となる丸太の加工をする様子を写した制作課程の映像が展示され、デ・ルッキのメッセージを聞くことができます。
「ロッジア」は風を通し、光を通す透明な家だと語るデ・ルッキ。「それらは、住宅の人工的で空調された環境と、自然のオープンスペースとの間の中間の建築物であり、特徴は異なりますが、東洋と西洋の両方に共通しています。このロッジアは今日、人間と自然との新たな関係の象徴であり、イタリア文化と日本文化を結び付けています。」
会場の奥に展示された、ヴィクトル・コサコフスキー監督による美しい制作風景の映像を通じて、デ・ルッキの哲学を知ることもできます。
デ・ルッキは言います。「私の仕事はデザインすることであり、デザインとは全身全霊で未来に飛び込むことを意味します。若い頃、私は自分のエネルギーを注ぐ分野を一つ選べないことに非常に苦しみました。私は自分が急進的な建築家の一人であることに気付き、建築家は家を建てるのではなく、行動を促すのだと言って、建築家の伝統的な考え方に異議を唱えました。デザイナーとしては、機械で作られたものの完璧さと単調さが気に入りませんでした。私は画家になり始めましたが、さらに、木で彫刻を始め、彫刻家になりました。今ではそれだけでは物足りなくなり、小説を書いています。そして、方向転換を50年以上経て、この優柔不断さがどれほど幸運だったか、そして空間や物の世界をさまざまな角度から取り組むことをどれほど楽しんでいたか、私は驚きをもって気づきました。三宅一生さんも制約や限界のない創作の世界を体験したからこそ、きっと私のことを理解してくださったはずです。」
1980年代に初めて日本で出会い、それ以来親交を深めてきたデ・ルッキと三宅が、2018年に交わした会話がきっかけで企画された本展の裏には、二人の友情がありました。ぜひ会場でデ・ルッキの想いを感じてください。
撮影:吉村昌也
2024年8月9日(土)、東京ミッドタウンにて2つのワークショップを開催しました。ひとつ目は、ギャラリー1&2で開催した企画展「未来のかけら: 科学とデザインの実験室」の関連プログラムとして、本展参加作家の千葉工業大学 未来ロボット技術研究センター(fuRo)の所長、古田貴之によるワークショップ「最先端ロボットと触れ合う!」。2つ目は、ギャラリー3で開催した企画展「beyond form / かたちなき野性 GUSHA GUSHA, KUSHA KUSHA」の関連プログラムとして、「にぎって、つぶして、こねて、まるめるーIM MEN(アイム メン)の素材を使った造形ワークショップ」です。それぞれのワークショップの様子を紹介します。
企画展「未来のかけら: 科学とデザインの実験室」では、千葉工業大学 未来ロボット技術研究センター(fuRo)と山中俊治によって生み出されたロボット群を展示しました。その中から、タイヤで走るだけでなく車軸での歩行もできるロボットビークル「Halluc IIχ」や、用途によってトランスフォームする搭乗型変形ロボット「CanguRo」などと触れ合うことのできるワークショップを開催しました。ワークショップではそれらのロボットに加えて「絶望ロボット」「ILY-A」「災害対応ロボット」にも触れることができました。
ロボットの特徴の説明やデモンストレーションを行った後、参加者はグループに分かれ、実際にロボットを操作したり触れてみたり、構造を近くで観察しました。「CanguRo」や「ILY-A」には試乗することができました。
続いて、ギャラリー3で開催した企画展「beyond form / かたちなき野性 GUSHA GUSHA, KUSHA KUSHA」に関連して開催した、「にぎって、つぶして、こねて、まるめるーIM MEN(アイム メン)の素材を使った造形ワークショップ」の様子を紹介します。講師は、2021年にスタートしたメンズブランド IM MEN(アイム メン)のデザインチームが務め、ギャラリー3での展示でディレクターを務めた空間デザイナーの吉添裕人も参加しました。
ワークショップでは、完成形でありながら、さまざまな形状に変容する素材独自の表情を持つ、IM MENのバッグ「GUSHA GUSHA」と「KUSHA KUSHA」の素材を使って作品をつくりました。IM MENのデザインチームと一緒に、握る、潰す、こねる、丸めるなど、手の感触を楽しみながら自由に造形し、最後は参加者のお互いの作品を鑑賞し合いました。
ギャラリー3では、2024年8月28日(水)から9月8日(日)まで「ISSEY MIYAKE LE SEL D'ISSEY: Imagination of Salt」を開催しています。
まず来場者を迎えるのは、ギャラリー3の手前から立ち上がるミストです。ほのかに香水が薫るこの白いミストは定期的に噴出し、通りかかる誰もが香りを楽しむとともに、目に見えない香りを視覚的に感じることができます。ギャラリー内の展示は、「自然は最高の調香師である」という三宅一生の言葉から始まります。1994年、〈水〉の香りを表現した「ロードゥイッセイプールオム」を発表し、香りの世界に革命を起こした三宅は、再び本質的な自然のエレメント〈塩〉からインスピレーションを得たのです。
会場では、新しい香水「ル セルドゥ イッセイ オードトワレ」と本展に関わった3人のクリエイターの言葉も紹介されています。調香師カンタン・ビシュの「塩に宿る精神」、映像などのビジュアルイメージを手がけたマーカス・トムリンソンの「着想源はアートとテクノロジー」、そして新香水のボトルデザインと、本展の会場を手がけた吉岡徳仁の「ボトル:光を放つこと、その力」。それぞれのメッセージとともに、展示された香り、ボトル、映像、ボトルデザインのプロセスを通じて、本来香りのない〈塩〉というテーマをどう表現していったのか、興味を掻き立てます。
「ル セルドゥ イッセイ オードトワレ」は、8月28日より21_21 NANJA MONJAでも先行販売しています。ぜひお手にとってお楽しみください。
撮影:金谷龍之介
ギャラリー3では、2024年8月1日(木)から8月15日(木)まで「beyond form / かたちなき野性 GUSHA GUSHA, KUSHA KUSHA」を開催しています。
2021年にスタートしたメンズブランド IM MEN(アイム メン)は、三宅一生の「一枚の布」という思想を男性の身体という視点から捉え、ものづくりの可能性を追求しています。衣服の構造や素材の研究を続けてきたメンバーそれぞれの専門性を活かし、技術とデザイン、クリエイションが一体となったものづくりを目指すIM MENデザインチームが新たに2つのバッグを発表しました。「GUSHA GUSHA」は、まるで粘土のように思いのままに形をつくり、ぐしゃぐしゃにしたり、立方体や球体にしたりと、様々な形状に変えることができます。「KUSHA KUSHA」は、紙をクシャクシャと丸めるときのような、自然な動作で楽しくコンパクトにでき、軽量で薄く、何度でも丸めたり広げることができます。
「GUSHA GUSHA」と「KUSHA KUSHA」を使った本展は、素材にふれる心地よさを通じ、機能や形態を超えた本質に立ち返る試みとして企画されました。表現の領域を横断する5人の参加作家、吉添裕人(空間デザイナー)、木下理子(アーティスト)、鈴木元(プロダクトデザイナー)、中田愛美里(アーティスト)、渡来徹(花道家)は「GUSHA GUSHA」「KUSHA KUSHA」にふれ、にぎったりつぶしたり、こねたりまるめたりする行為を通じてインスピレーションを得ました。そしてバッグを素材として使い、それぞれの作品を創作し展示しています。バッグの素材の特性を浮かび上がらせた各作品の強い個性が、互いに呼応しながら、ギャラリー3の建築空間と調和するよう、全体をディレクションした吉添裕人により構成されています。
21_21 NANJA MONJAでは、本展会期中、「GUSHA GUSHA」と「KUSHA KUSHA」を販売しています。あわせてお立ち寄りください。
© ISSEY MIYAKE INC.
Photo: Masaya Yoshimura (Copist)
ギャラリー3では、2024年7月15日(月・祝)まで「Inside of the Edges and Lines_fumiko imanoの双子が覗いたヴァレクストラのアトリエ」を開催しています。
「エンジニアリング ビューティー」を追求し、そのクラフツマンシップの中に、継続と革新を共生させるヴァレクストラは、イタリア ミラノで 1937 年に創業したレザー製品のブランドです。本展では、アーティスト fumiko imano とのコラボレーションによって、ミラノの工房で撮りおろした写真から生まれた新作を世界初公開しています。
展示のはじめに、ヴァレクストラのアイコニックなレザーであるホワイト「ペルガメーナ」に迎えられた来場者は、fumiko imanoの12点の作品とともに、まるでアトリエに招かれるようにその世界に誘われます。セルフポートレートから生まれた双子と、彼女たちのぬいぐるみの動物が映り込む写真を、カットしてコラージュしたエッジは、ヴァレクストラのものづくりを特徴付けるシンボリックな工程「Costa」(革の断面に黒インクを塗る職人の手仕事)とも重なります。
会場の中央で目を惹くのは、バッグのパーツや、職人たちが使用しているゲージ、スタンピングマシンと真鍮の活字、「Costa」を塗るための工具やペンなど、実際のミラノのアトリエから取り寄せた数々のサンプルや道具たちです。
そしてバッグの製造工程を順にたどりながら、ギャラリー3の空間内でアトリエを散策するような本展で最も印象的なのは、fumiko imanoの作品に現れた、アトリエの職人たちの内面までを映し出すような柔らかな表情です。彼女の視線によってもたらされる、ストイックで暖かな雰囲気を、ぜひお楽しみください。
ヴァレクストラ東京ミッドタウン店では、fumiko imanoの特別インスタレーションを同時開催しています。あわせてお立ち寄りください。
fumiko imano, アーティスト
1974 年日立市生まれ。幼少期をブラジルのリオデジャネイロで過ごす。ロンドンのセントラル・セント・マーチンズで ファインアートを、ロンドン・カレッジ・オブ・ファッションでファッションフォトを学ぶ。セルフポートレートを題材 にアート作品を作り続け、自身を双子にしたコラージュ作品で国内外で評価を得る。現在、日本を拠点に展覧会や雑誌、 ファッションブランドとのコラボレーションを中心に活動中。
ギャラリー3では、2024年6月23日(日)まで「Focus on STRETCH PLEATS」を開催しています。
誰もが自由に楽しく着こなせる衣服を提案するブランドとして、2000年にスタートした「me ISSEY MIYAKE」を代表する素材、「STRETCH PLEATS」のプルオーバーの作り方の映像から本展は始まります。縦方向と横方向に2回プリーツをかけるために、製品の約3着分の大きさがあるプルオーバーが1枚ずつ丁寧に機械にかけられ、小さくなっていく様子は、会場に響くプリーツマシンのリズムと呼応して、見ていて飽きることがありません。
本展をディレクションするグラフィックデザイナーの岡崎智弘は、プリーツそのものを徹底的に観察し、見えてくる構造に着目することで、この素材によって生まれる形や布の動き、すなわち衣服そのものに備わる仕組みを知ることができると考えました。まず岡崎は、STRETCH PLEATSのプリーツ構造の「単位」を発見し、紙の模型にしました。そしてその「ひとつの構造」から生まれる動きを「動きの模型」にして観察し、横方向と縦方向の動きをコマ撮りアニメーションにしました。会場では撮影に使用した模型たちと映像をご覧いただけます。
会場の中央には、プリーツへの違うアプローチとして、STRETCH PLEATSの折り畳まれるサイズを少しずつ変えて観察できるよう、特別に作成した衣服が展示されています。そして奥の壁面では、衣服そのものを観察するべく、実際に販売されているプルオーバーのカラフルなラインナップを見ることができます。
最後の部屋では、岡崎が「動きの模型」を試す中で、プリーツから発展して生まれてきた多様な動きの形のスタディと、一部を使ったコマ撮りアニメーションを見ることができます。このアニメーションには、よく見るとわかる面白い仕掛けがありますので、ぜひ会場で発見してみてください。
本展では、岡崎が「創造的に観察する」と称する試みによって、衣服の特性を構成する小さな単位から、その単位の集積として生まれた大きな構造体へと視点が移ります。この素材を初めて見る来場者にとっても、慣れ親しんでいる作り手にとっても、衣服が織りなす表情がこれまでとは少し違って見えてくる展覧会です。
Photo: Masaya Yoshimura
ギャラリー3では、2024年4月29日(月・祝)まで『ISSEY MIYAKE 三宅一生』刊行記念展を開催しています。
この春、ドイツのTASCHEN社から刊行された書籍『ISSEY MIYAKE 三宅一生』の刊行記念展である本展は、デザイナー三宅一生の片腕として、50年にわたり三宅の創造を支えてきた北村みどりのメッセージからはじまります。北村は今回の出版にあたり、2016年版の同名書籍と同様、責任編集を務めました。
展示のメインとなるのは、本書の表紙と裏表紙を飾る衣服作品《リズム・プリーツ》(2024年再制作)です。1989年、パリのISSEY MIYAKE 1990年春夏コレクションで発表されたこのドレスは、アンリ・ルソーの絵画《夢》に着想を得て制作されたシリーズのひとつ。楕円、丸、四角の形をしたプリーツ素材の、平面が立体にダイナミックに変容するさまは、デザインを通して驚きと喜びを伝えつづけた三宅の仕事を象徴するものです。会場では、2つの作品の平面と立体それぞれを見ることができます。
奥の壁には、《リズム・プリーツ》の写真が載った、ISSEY MIYAKE 1990年春夏コレクションのポスター4枚が展示されています。シーズンビジュアルとして、撮影をアメリカの写真家アーヴィング・ペン、レイアウトとタイポグラフィを日本を代表するグラフィックデザイナー田中一光が手がけました。かねてからペンを尊敬していた三宅たっての希望で、1986年からはじまったペンによるコレクションの撮影から生まれた写真は、田中がデザインするポスターとなり、その協業は1999年まで13年間続けられました。その間のペンと三宅のお互いを尊重したクリエーションは、全ての撮影に立ち会った北村のディレクションにより、21_21 DESIGN SIGHT企画展「アーヴィング・ペンと三宅一生 Visual Dialogue」(2011年)で広く公開されました。
会場には本書がディスプレイされているほか、ライブラリーで手にとって内容を見ることができます。会場デザインは建築家の西澤徹夫が手がけました。
冒頭の北村のメッセージでは、「デザインには希望があると僕は信じている。デザインは驚きと喜びを人々に届ける仕事である」という三宅の言葉を紹介し、本展が来場者と希望を共有する機会になることを願っています。
『ISSEY MIYAKE 三宅一生』
TASCHENより2016年に刊行した同名書籍の増補改訂版。
2015年以降の仕事を新たに加え、三宅一生の1960年から2022年までの全仕事を集大成としてまとめた。 衣服デザインを主軸に、展覧会企画、出版など幅広い領域に及ぶ三宅の仕事の全貌を、貴重な資料を含む多くの写真で紹介する、三宅一生の仕事とその視点を知るための究極の1冊。
企画・責任編集:北村みどり
エッセイ:小池一子
出版:TASCHEN
ハードカバー、30×30 cm、448ページ、3.20 kg、英語・日本語併記、税込16,500円
2024年4月22日より21_21 DESIGN SIGHT NANJA MONJA、ISSEY MIYAKE一部路面店にて国内先行発売
Photo: Masaya Yoshimura
ギャラリー3では、2024年4月15日(月)まで「ダニエル・ブラッシュ展 ― モネをめぐる金工芸」を開催しています。
アメリカのアーティスト、ダニエル・ブラッシュ(1947年〜2022年)は、画家、彫刻家、金細工師、ジュエラーと呼ばれる活動で、多岐にわたる作品をつくってきました。しかし、そのような呼称にとらわれることのない超越した作品群には、ブラッシュの比類なき個性と博識により、哲学者、技師、機械工、コレクター、学者、そして夢想家という側面も合わせ、止まることのない好奇心と探究心が現れています。
会場の前半では、数多くの彼の作品から厳選したオブジェやジュエリー、絵画が展示されています。純金、スチール、希土類磁石を使った作品「山」が幻想的に来場者を最初に迎えます。続く5点の絵画は、ブラッシュが生涯にわたり魅了され影響を受けたという日本の能楽からインスピレーションを受けた作品です。高い集中力で描かれた細い線の集まりは、空間に緊張感を生み出します。さらに金、アルミニウム、スチールを使った非常に精緻な金工作品が続きます。
後半は、本展のメインである連作「モネについて考える」の展示です。ギャラリー3の横に長い一本の窓に呼応した細長い展示ケース内に、65点が一列に並びます。スチールに細かく彫られた線の凹凸の角度により、印象派の画家モネの描こうとした「光」を追求した小さな彫刻です。さまざまな状態のスチールを集め、彫り、表面加工を施していないこの連作は、作品管理上、手に取ることはできませんが、手のひらサイズの1点1点が、ギャラリー3の空間の時間帯や天候によって異なる光の中で、その瞬間その角度だけの色味で輝く様子を楽しむことができます。
来場者に配布されるカタログに、ブラッシュの言葉が紹介されています。
「ジュエリーは、神々に近づくためのひとつの媒体であり、夢を私たちの生活のなかへ、私たちが生きる人生という迷路のなかへと取り入れるための導管なのだ」
真の芸術作品では、職人技は消え去り、つくり手の魂が輝くようになるという確固たる信念をもっていたというブラッシュの作品を、日本初公開のこの機会にぜひご覧ください。
会期中には、会場内で音楽イベントが予定されています。
2月11日(日)には、彼が生涯愛したジャズの演奏とともに、また3月20日(水・祝)には、彼自身の芸術的な研究対象であり、絵画作品のモチーフとなった日本の能楽の演奏とともに展示をご鑑賞いただけます。
下記時間に会場内にて演奏を行います。予約不要。
■ 2月11日(日): ダニエル・ブラッシュ展とジャズを楽しむ
14:00 - 14:30/16:00 - 16:30/18:00 - 18:30
■ 3月20日(水・祝): ダニエル・ブラッシュ展と能楽を楽しむ
14:00 - 14:20/16:00 - 16:20/18:00 - 18:20
ギャラリー3では、12月10日(日)まで「Digital Happiness / いとおしいデジタルの時代。」を開催しています。
2003年10月の発売以来、今も多くのファンを持つ「INFOBAR」は、プロダクトデザイナー 深澤直人がデザインした携帯電話です。携帯電話におけるデザインの変革を目的としたプロジェクト「au Design project」の原点とも言える、レゴブロックから発想を得た初代デザインは、日常のプロダクトにいとおしさやユーモアをもたらすものとして大きなインパクトを残し、その後のデザインケータイの潮流を作りました。MoMA(ニューヨーク近代美術館)のパーマネントコレクションにも選出されています。
20周年を記念する本展では、まず初代 INFOBAR4種が会場で来場者を迎え、中でも人気の高い「NISHIKIGOI」カラーモデルを完全再現した Apple Watch ケースのプロトタイプ初公開展示が続きます。そして会場の奥では、最新技術が生活の中で「幸せな気分」をもたらすことを目指し、au Design projectが企画開発する、深澤がデザインした生成AIマスコット「Ubicot」のプロトタイプを展示発表しています。そのほか、同じく深澤のデザインによる「METAVERSE WATCH concept」の展示や、中村勇吾による動画上映を楽しむことができます。
また今回、INFOBAR20周年記念グッズとして、「NISHIKIGOI」カラーをモチーフにハンカチ、ステーショナリー、飴が制作され、21_21 NANJA MONJA(21_21 SHOP)で販売しています。
ギャラリー3では、11月5日(日)まで「吉岡徳仁 FLAME − ガラスのトーチとモニュメント」を開催しています。
常に新しい表現の挑戦を続けている、吉岡徳仁の新作「ガラスのトーチ」と「炎のモニュメント—ガラスの炬火台」が、本展で発表されました。透明なガラスの造形から生み出されたこの作品では、TOKYO 2020オリンピックのために桜をモチーフにした「聖火リレートーチ」のデザインをした吉岡が、これまでの研究を元に、炎の彫刻を生み出すことを目指したとも言えます。今回発表したトーチとモニュメントは、2024年に開催される、国民スポーツ大会(旧国体)SAGA2024のセレモニーで使用されます。
本展会場では、特別に屋外に設置された「炎のモニュメント—ガラスの炬火台」と吉岡の代表作であるガラスのベンチ「Water Block」に加え、ギャラリー内には「ガラスのトーチ」とその制作プロセス、MIYAKE DESIGN STUDIOが手がけた炎を灯すセレモニーをイメージした衣装と、「Water Block・Prism」などが映像とともに展示されています。
展覧会開幕前夜、このトーチからモニュメントに炎を灯すセレモニーが行われました。ミッドタウン・ガーデンに居合わせた観客たちは、計算された空気の流れによってトルネード状に舞う炎に魅了されました。会期中には、10月7日(土)と10月28日(土)に吉岡により火を灯す特別イベントを行います。詳しくは、プログラムのウェブサイトをご確認ください。
Photo: Masaru Furuya
ギャラリー3では、6月25日(日)まで「Summer Greetings by HAY」を開催しています。
HAYは、新しいタイプのデザインカンパニーとして2002年にデンマークで設立されたインテリアプロダクトブランドです。世界中の優れたデザイナーと開発を行いながら、高品質で長く使うことができ、かつ手頃な価格でプロダクトを提供することを目指すHAYが、新たに復刻したのはヘリット・リートフェルトによるCRATE COLLECTION。この名作家具シリーズを中心に、「アウトドア」をテーマにした空間がギャラリー3に現れました。
インテリアスタイリスト 作原文子により、生活のさまざまなシーンが散りばめられたギャラリー内はグリーンに溢れ、HAYのプロダクトが表情豊かにスタイリングされています。さらに窓の外のミッドタウン・ガーデンの木々や草花への広がりが心地よさを際立たせ、ギャラリー3の空間の特性が活かされた構成です。洗練されたアウトドア家具は、ガーデンを行き交う人々に対し、賑わいとともに安らぎも提供しています。
会場では、これからの季節に最適なインテリア雑貨や、キッチンプロダクトを販売する HAYミニマーケットでのお買い物もお楽しみいただけます。
撮影:Kanta Nakamura (NewColor inc)
ギャラリー3では、3月26日(日)まで「そばにあった未来とデザイン『わからなさの引力』展」を開催しています。本展では、言葉では説明できないけれども「なんかいい」という感覚を体感しながら、「わからなさ」に眠る価値や可能性を探ります。
テクノロジーの進化により、利便性や豊かさが高まる一方で、最近では新しさや便利さが備わっていなくても惹かれたり、好まれたりすることもあります。それらの説明しがたい魅力には、未来の豊かさに繋がる可能性があると考え、本展では「わからなさ」に着目することとなりました。
会場では、13名のデザイナーやクリエイター、美術家、研究者らがそれぞれの日常生活の中で、言葉では表しにくいけれど「なんかいい」と感じるプロダクトが展示されています。さらに、プロダクトを選んだ参加者本人と、主催のNTTドコモ、本展協力のAXIS編集部による、「なぜいいと感じるのか」を考察するキャプションも添えられており、3者の視点を紹介しています。
展示参加
伊藤亜紗、AKI INOMATA、岩佐十良、岡本健、緒方壽人、倉本仁、齋藤精一、鈴木 元、辰野しずか、田根 剛、長嶋りかこ、三宅一成、宮島達男 (五十音順・敬称略)
本展のタイトルにあるように、「わからなさ」に目を向けて、その未知なる可能性や豊かさについて、この展示を通じてぜひ探ってください。
撮影:鈴木優太
ギャラリー3では、3月12日(日)まで「With a Pen 1本のペン、1本の線。そして世界は創られる。by ZOOM」を開催しています。
1本のペンと、そこから生まれる1本の線が、世の中のさまざまな創造の源とも言える—本展は、デジタルツールが日常に溶け込んだ現在において、あらためてペンの本質的な価値に焦点を当てる展覧会です。
本展では、デザイン筆記具ブランド「ZOOM / ズーム」のプロダクトデザイナー 國府田和樹、グラフィックデザイナー 金井知広と、本展コラボレーションクリエイターで「ANATOMICA」デザイナー寺本欣児の言葉や制作プロセスを中心に展示しています。ペンで描いた1本の線から始まるドローイング、そこから起こされるデジタルの図面が3Dモデルにつながり、素材選びや試行錯誤を経てプロダクトが誕生するまでのこだわりに迫ります。
アナログツールであるペンで描くことの価値や楽しさを再発見いただけるよう、会場では、「ZOOM」ペンで来場者が作品を描くことができるほか、寺本が本展に合わせ、ペンで描いてデザインを起こしたペンケースの限定予約販売も行っています。
ギャラリー3では、6月5日(日)まで「ロイヤル オーク 時を刻んだ50年」を開催しています。本展は、生誕50周年となるロイヤル オークの希少性と革新性を深く探究できる貴重な機会です。
1875年にスイスの山奥の集落、ル・ブラッシュで創業したオーデマ ピゲは、複雑系時計を得意とするブランドとして知られています。1972年に誕生した「ロイヤル オーク」は、発売当初は時計市場の流行とは異なるサイズや素材を用いた革新的なコンセプトの高級時計として注目を浴びました。
会場では「見て、触れて、学ぶ」をテーマに、3つのゾーンが展開されています。ロイヤル オークの象徴的な八角形ベゼルを彷彿とさせるトンネルをくぐると、貴重なヴィンテージモデル9点が展示されています。なかでも1972年当初に製造されたロイヤル オークは、50年間の歴史と風格が感じられ圧巻です。
そのほかにも写真や映像、本邦初公開となる技術的な資料を通じて、オーデマ ピゲの誕生秘話や歴史の解説、職人の手によって時計が組み立てられる過程もご覧いただけます。さらに、会場の奥のスペースでは、職人によるベゼルの磨きや組み立てを目の前で見学でき、その精緻な手作業から希少性の理由について理解が深まります。
混雑を避けるため、本展への入場は事前予約の方を優先しております。ぜひ本展特設ウェブサイトより事前予約のうえご来場ください。
ギャラリー3では、3月27日(日)まで「少し先の未来とデザイン『想像する余白』展」を開催しています。
スマートフォンにとどまらない、通信がもたらすさまざまなこれからの「豊かさ」を模索するドコモのプロダクトデザインチームは、少し先の未来の生活をデザイナーらと考える研究プロジェクトを年間を通じて行っています。本展では、その研究を展覧会に発展させ、3組のプロダクトデザイナーと4ヶ月にわたり協働し製作したプロトタイプ(アイデアの検証目的の試作品)と、そのスケッチや素材を展示しています。
デジタル技術が高性能化する反面、デバイスは誰もが使いやすくリテラシーのいらないものが人生を豊かにする、という想定から浮かんだテーマは「人と技術が調和したなめらかな暮らし」。これを模索するキーワードとして、参加デザイナーの倉本 仁は「映像」、鈴木 元は「音」、三宅一成は「移動」を設定し、日常生活での気づきを話し合いながら、それぞれ発展させたアイデアを表現します。
3組のデザイナーにドコモを加えた、4つのコーナーで展示されているプロトタイプは全て未完成であり、また製品化を目指しているわけでもありません。そこには、外部デザイナーと企業が協働することで浮かび上がる提案があります。先行きが不透明な時代、会場の「想像の余白」を通じて少し先の未来をぜひ一緒に考えてみてください。
撮影:鈴木優太/Photo: Yuta Suzuki
ギャラリー3では、3月13日(日)まで「メンズ リング イヴ・ガストゥ コレクション」を開催いたします。パリの先駆的なアンティークディーラーとして知られるイヴ・ガストゥが、30年以上にわたり蒐集していたメンズリング(男性用指輪)の中から、最も象徴的な約400点のリングが一堂に会します。
本展は、「歴史」「ゴシック」「キリスト教神秘主義」「ヴァニタス(空虚)」「幅広いコレクション」の5つのテーマに沿った展示構成となり、イヴ・ガストゥのコレクションの多様性をご覧いただけます。それぞれ蚤の市からオークション、旅先から蒐集してきたリングの数はとても膨大で、類稀なデザインのバリエーションには圧倒されます。
ギャラリー3の空間は、ステンドグラスさながらの窓に囲まれ、会場に足を踏み入れるとイヴ・ガストゥのゴシック的で神秘主義的な世界観を体感できます。ひとつひとつ違う来歴を持つリングの歴史や背景に思いを馳せながら、コレクターの審美眼をお楽しみください。
21_21 SHOPでは、展示しているリングのポストカードやレコールが出版している書籍などを取り扱っております。
また、会期中の1月27日には、パリのレコール本校からライブでオンライントークが配信されます。美術史家でアンティークジュエリー専門家のジスラン・オークルマンヌとイヴ・ガストゥの息子で「ガストゥ ギャラリー」ディレクターのヴィクトール・ガストゥが出演します。こちらもぜひご覧ください。
ギャラリー3では、2021年12月5日(日)から12月27日(月)まで、「POP-UP SHOP REMOTE WORKS @ 21_21 01: 清水久和 (S&O DESIGN)」を開催いたします。21_21 DESIGN SIGHTとmethodが続けてきた「POP-UP SHOP」をさらに進化させた新企画です。
会期中はギャラリー3がデザイナーのリモートオフィス兼ショップに変貌します。「REMOTE WORKS @ 21_21」の第一弾にはプロダクトデザイナーの清水久和(S&O DESIGN)を迎え、幅広い代表作を展示および販売しています。
ギャラリー3の空間に合わせて「髷貯金箱」や代表作の「鏡の髪型」シリーズ、新作の「額装された鏡の髪型」などのユニークな作品が象徴的に展示されています。 日が暮れると「チューチューシェードVer.1」や「フルーツテーブルランプ」、リヤドロの「Hairstyle Lamp」の灯りが会場を華やかにし、感動と癒しをもたらします。空間の中央には、つま先立ちしているような脚先の形状から名付けられた家具シリーズ「トーファニチャー(いさみや)」が展示され、清水本人もリモートワークのデスクとして使用しながら来場者をお迎えします。
本展のポスターとなっている「オリーブのリーゼントチョコレート」は、見た目の可愛らしさだけでなく、9つの味を楽しむことができ、ギフトに最適です。
デザイナー本人との対話も楽しむ絶好の機会となりますので、ぜひ会場にお越しください。
photo: 白根 美恵
ギャラリー3では、2021年10月23日から11月3日まで、「ISSEY MIYAKE WATCH展 12人のデザイナーによる25の腕時計」を開催しています。2001年の秋に誕生したISSEY MIYAKE WATCHプロジェクトの20周年を記念したイベントです。
会場ではこれまでの20年の間に、12人のデザイナーによって生み出された25のモデルが一堂に展示されています。それぞれのモデルの名前の由来や、デザインのコンセプト、デザイナーのメッセージなどを腕時計とともにご覧いただけます。会場の奥では、デザイナー本人が登場する映像も放映しておりますので、ぜひお楽しみください。
21_21 SHOPでは、展示しているISSEY MIYAKE WATCHの一部を取り扱っております。展示をご覧いただいた後に、ぜひSHOPへお立ち寄りください。
また、会期中の10月28日には、深澤直人と篠田哲生によるインスタライブ「デザイナー深澤直人が語る ISSEY MIYAKE WATCH project」を行います。会場から無観客での配信を行います。ISSEY MIYAKE WATCH 公式Instagramアカウントて会場から無観客配信を行いますので、ぜひご覧ください。
「緊張と不安のなかにあるときこそがアートの出番。閉塞状態を切り拓いていくことができるのが、まさにアートの創造力なのです」。21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3で10月17日まで開催中の『横尾忠則:The Artists』展に際してのインタビューで、横尾はそう語ってくれた。
カルティエ現代美術財団の主催となり、21_21 DESIGN SIGHTは特別協力として関わっている本展で紹介しているのは、同財団と関わりの深いアーティストを横尾が描いた肖像画の数々だ。これまでの作品でも横尾は、自身の姿をはじめ、三島由紀夫や谷崎潤一郎、「自身のミューズ」と述べる原 節子など、古今東西の人物を描いてきた。また、瀬戸内寂聴の新聞連載「奇縁まんだら」の挿絵として巨匠作家の姿を表現、他にも日本の作家を描く肖像画シリーズも手がけてきた。
こうした横尾がパリのカルティエ現代美術財団のゼネラルディレクターであるエルベ・シャンデスからの依頼を受け、同財団を会場として個展として作品を披露したのは2006年のこと。その後、財団と関わりの深いアーティストの肖像画を描く機会も得て、すでに100名以上の人々を描いている。アーティスト、デザイナー、建築家だけでなく、音楽家や科学者、哲学者、映画監督も含まれるなど、同財団を巡る多彩な人々の存在は何とも興味深い。
と同時に、これほどまでに幅広い人々、一人ひとりとの特色をとらえる横尾の表現世界には驚かされてしまう。作品のサイズは全て同じであるものの、表現の手法は異なり、人物名の記載の手法も大胆なほどに違っている。「同じタッチ、同じスタイルで描くというのは僕にとってはものすごく難しいというか、ほとんど不可能なのです」。本展に際してのインタビューでの横尾のことばだ。
「一人ひとり人格も違いますから、絵の様式が変わっていくのは僕にとっては自然なこと。また今回のポートレイトに限らず、僕の絵はテーマごとに表現が変わり、10点描くと10のスタイルとなる。定めた主題のもとに自身の様式を続けるアーティストとは異なり、ひとつの作品を描き終わると次の表現はがらりと変わります」
こうも語ってくれた。
「いま描いた絵がすべてとは思わず、この次の表現があるんじゃないかと。そして次を描くと、いやこれじゃない、もっと別の表現があるはず、と......」
「いかなるものごとも完成するということはありえず、どのような場合もプロセスやそのなかでの変化が大事です。人間は皆、生まれてくるときに未完の状態で生まれてきて、短い一生のなかで努力を重ねていく。絵を描くときに未完であるというのは当然のことで、未完こそが創造なのです」
昨年からのコロナ禍において横尾はアトリエで絵画制作に没頭する日々を送る。最新の肖像画は、現代アーティストとして活躍しているダミアン・ハースト。(写真左から3つ目) この作品を描く様子は、会場内で紹介しているインタビュー映像に収められている。
未完とは途切れることのない創造の力
横尾忠則は1960年、日本デザインセンターに入社。1967年の『デザイン』誌に田中一光が横尾に会った時のことを記した文章があり、横尾の自伝『ぼくなりの遊び方、行き方』でも引用されている。田中をはじめ、永井一正や宇野亜喜良らと制作を共にした日本デザインセンターを1964年に退社。その後さらにデザイナーとしての才能を発揮し、1972年にはニューヨーク近代美術館において、現存のグラフィックデザイナーとしては初めてとなる個展が開催されて注目を集めた。
そのニューヨーク近代美術館で、1980年、横尾は人生を変える出会いを経験する。訪れたピカソの展覧会を目にした2時間後、「画家になろう」と決意したのだった。前出の自伝にはこの時を振り返る次の文章も収められている。
「自由な表現が鑑賞者をここまで解き放つピカソの芸術性とは一体何者なのだろう。僕は別にピカソのようなスタイルの絵を描こうとは想わないが、でき得ればピカソのような生き方、つまり創造と人生の一体化が真に可能ならそれに従いたいと思ったのである」。「いい方を換えれば行為自体を目的とする遊びこそが、人生と芸術のなすべきことではないかと直感したのだった」
当時から40年となる現在、現在の横尾を知る好機となるのが、現在、東京都現代美術館で開催中の「GENKYO 横尾忠則 原郷から幻境へ、そして現況は?」展(2021年10月17日まで)だ。同展について本人は、『何を描くか』という主題ではなく、『いかに描くか』、いや、それともー、という曖昧さを見せたかった」と説明する。この曖昧さとは枠を設けるのではなく、可能性としてもたらされる余白のことでもあるのだろう。
そして21_21 DESIN SIGHTギャラリー3で開催中の本展でも、「常に変化は必要、作品も未完であり続けたい」と考える横尾の世界をまさに体感できる作品を目にできる。そうあるべき、といった枠を設けることとは無縁のところで、力むことなく絵筆を手にとり対象となるその人を表現することに没頭している横尾の姿が伝わってくる。グラフィックデザインとアートの枠を軽やかに超えるかのような空気にも満ち、まさに横尾の真骨頂が発揮されている。
横尾の「外部への関心」についてはかつて三島由紀夫も触れていたことがあるが、139点の肖像画からは、さまざまな出会いを歓迎し、そのつど新鮮な心でキャンバスに向かうアーティストの姿が鮮明に浮かびあがってくる。既存の枠に縛られることで大切なことを見失ってしまうことのないよう、周囲に目と心を向けることの重要性をも教えてくれる。デザインの視点を大切にするとともにジャンルの垣根を超えた対話とともにある活動を続ける21_21 DESIGN SIGHTの精神と共通する点を感じずにはいられない。
創造の力で歩み続ける人々の存在に刺激をうけ、「大切なのはプロセス。未完は創造」という心で横尾が描いた肖像画に鼓舞される。さらには「自由とは遊び」と語る横尾のユーモアの視点も作品のそれぞれに滲み出ていて、その眼ざしにも心を奪われてしまうのだ。
インタビュー映像はこちらからもご覧いただけます
文:川上典李子
撮影:吉村昌也
ギャラリー3では、2021年7月21日から10月17日まで、「横尾忠則:The Artists」を開催します。
パリのカルティエ現代美術財団が主催する本展では、国際的アーティスト 横尾忠則による日本初公開となる肖像画作品139点を紹介します。
2014年、カルティエ財団はその設立30周年に際し、財団に関わってきた世界中の芸術家や思想家、批評家や科学者らの肖像画を横尾忠則に依頼しました。
横尾は3ヶ月の時間を費やし、肖像画の制作に取り組みました。油彩画の技法や33cm×24cmというサイズは作品のすべてに共通していますが、表現においては実に多彩なスタイルが試みられています。
本展の空間構成では、この一つひとつの異なるスタイルを楽しめるようリボンのように連なった展示台に一筆書きで作品を紹介します。また壁面は作品を拡大したディテールのコラージュで埋め尽くされています。各作品とディテールとの響き合いによって織りなされる世界によって、会場を訪れる人々は、横尾絵画の宇宙、さらにはその可能性の探求へとひき込まれることでしょう。
また本展のために制作された映像では、カルティエ財団との関係や21_21 DESIGN SIGHTの創立者でもある三宅一生との関係、そしてコロナ禍を通じた制作活動について、心のままに語る横尾の姿をご覧いただけます。
本展で横尾忠則の絵画の世界をお楽しみください。
Photo: Masaya Yoshimura
ギャラリー3では、2021年6月7日から13日まで、「THE STONE展 "石の仏、神の獣。"」を開催しています。
写真家の西村裕介は、約3年半にわたり日本全国を旅して石像を撮影し続けました。会場では、羅漢や狛犬、猿やタコなどの多種多様な石像の写真作品が展示されており、それぞれ異なった表情や佇まいをお楽しみいただけます。さらには、アートディレクター・井上嗣也によるポスター作品と映像作家・牧 鉄馬氏の映像作品もご鑑賞いただけます。石仏の表情や迫力のある動きが伝わってくるポスターと、音や動きによって没入できる映像作品をぜひご体感ください。
写真集『THE STONE』(リトルモア刊)では、会場に展示されていない石像の写真作品、撮影場所や撮影秘話などをお楽しみいただけます。21_21 SHOPで取り扱っておりますので、ぜひお手に取ってください。
Photo: Yusuke Nishimura
ギャラリー3では、2021年3月14日から3月21日まで、「小松・九谷のものづくり『素材のカタチ』」を開催します。
江戸時代前期に生み出され、海外でも広く評価されてきた九谷焼。現在に至るまで、窯元の職人たちは、様々な社会変化に合わせて仕事をしてきました。
生活が大きく様変わりした2020年、ものづくりのつくり手だけでなく、使い手の生活も大きく変化しました。このような状況において、九谷焼や繊維産業など多くの産業を擁する石川県小松市では、つくり手や産業に関わる人々の間で「新しい生活様式において、100年先にも愛される小松のものづくりとは何か」という問いが立てられました。
本展は、この問いに対しての一つの活動として、小松九谷の16人の作家と企業、食のプロフェッショナル、学生が協業し、つくり上げられた作品を発表するものです。「作家自身による制作」「美大生との共創」「料理人との共創」の3つの作品群で構成される本展では、小松のものづくりの豊かさ・強さを発見していただけることでしょう。
写真:山本宣明/Photo: Yoshiaki Yamamoto
ギャラリー3では、2020年10月30日から11月8日まで、「2020年度ロングライフデザイン賞受賞展」が開催されています。
長年にわたりユーザーからの高い支持を得て、今後もその価値を発揮し続けるであろうと考えられるデザインを顕彰する「グッドデザイン・ロングライフデザイン賞」は、1980年に創設されました。変わらないことや、継承・伝承することの意義に目を向けた、国際的にもユニークな賞です。この賞が大事にしている「デザインが私たちの暮らしを豊かに支え、日常の風景の一端を形づくってきた」という考え方に沿い、10年以上にわたり販売・提供されている商品、建築施設、サービス、コンテンツなどの中から、今年度は19件が受賞しました。
昨年に引き続き、ギャラリー3で開催される本展では、糊やペンなどの慣れ親しまれた小さな日常品から、建築、電車などの実物展示が叶わないものまで、本展ならではの展示デザインにより幅広いジャンルの最新の全受賞作をご覧いただけます。
ギャラリー3では、2020年9月22日まで、POP-UP SHOP企画の第4回目として「tempo store @ 21_21」が開催されています。
tempoは、2013年の誕生以来、空間と時間にアプローチした新しい形のモビールを発信し続けるブランドです。
空間の中で小さな空気の動きに反応して不規則に動くモビールは、「動く彫刻」ともいわれ、部屋の印象を変えるだけでなく、楽しさや癒しをもたらします。
コラボレーションする国内外の建築家やデザイナーが考える「重さ」や「バランス」がデザインに現れる優れたプロダクトとして、tempoのモビールは、美しいだけではなく素材の魅力と絶妙なバランスを楽しめるようになっています。栃木県足利市にある工房での、プロフェッショナルによる丁寧な手作業によりこのバランスが生み出され、モビール独自のリズムが形になります。
今回の「tempo store @ 21_21」では、ギャラリー3の空間を存分に使用してモビールを展示。そして既存の全プロダクトに加え、DRILL DESIGNによる新作の置き型モビールや、広い空間に映える大きなサイズのモビール、ギャラリー3限定カラーなどを販売しています。
21_21 DESIGN SIGHTギャラリー1&2では、会期延長になった「㊙展 めったに見られないデザイナー達の原画」(9月22日まで、日時予約制)も開催しています。 ぜひ、モビールの魅力と合わせてお楽しみください。
Photo: 衛藤キヨコ(kiyoko eto)
期間限定 これまでの企画展の映像作品/Video works from the past programs
21_21 DESIGN SIGHTの公式Vimeoアカウントでは、これまでに開催した企画展の映像作品を、2020年9月30日までの期間限定で特別公開しています。展覧会場でご覧いただいた方も見逃した方もこの機会にお家でお楽しみください。
「テマヒマ〈東北の食と住〉」
"TEMA HIMA: the Art of Living in Tohoku"
トム・ヴィンセント、山中 有
Tom Vincent, Yu Yamanaka
企画展「テマヒマ展〈東北の食と住〉」
Exhibition "TEMA HIMA: the Art of Living in Tohoku"
2012年4月27日 - 8月26日
*本映像はBLUE DOCUMENTARYより販売中のDVD『テマヒマ〈東北の食と住〉 TEMA HIMA: THE ART OF LIVING IN TOHOKU』に収録されている映像を著作権者である山中 有、トム・ヴィンセントおよび販売者の許可を得て、公開しています
「白姓」
"HAKUSHO"
山中 有
Yu Yamanaka
企画展「コメ展」
Exhibition "KOME: The Art of Rice"
2014年2月28日 - 6月15日
*本映像はBLUE DOCUMENTARYより販売中のDVD『白姓 HAKUSHO』に収録されている映像を著作権者であるBLUE DOCUMENTARY、および販売者の許可を得て、公開しています
「動きのカガク展 ドキュメント映像」
"Behind the Scenes of 'Motion Science' Exhibition"
ドローイングアンドマニュアル
DRAWING AND MANUAL
企画展「動きのカガク展」
Exhibition "Motion Science"
2015年6月19日 - 9月27日
「12組による雑貨の映像ドキュメンタリー」
"Documentary film of 12 Exhibitors"
島本 塁/玄 宇民(CGM)
Rui Shimamoto / Woomin Hyun (CGM)
企画展「雑貨展」
Exhibition "ZAKKA -Goods and Things-"
2016年2月26日 - 6月5日
「クリストが語るプロジェクト、 創作過程」
"Christo talking about projects and making process"
柳 正彦、ドローイングアンドマニュアル(編集)
Courtesy of CVJ Corp(イセオ湖 映像提供)
ドローイングアンドマニュアル(撮影・ニューヨーク/2017年2月)
ウルフガング・フォルツ(写真)
Masahiko Yanagi, DRAWING AND MANUAL (Edit)
Courtesy of CVJ Corp (Film at Lake Iseo)
DRAWING AND MANUAL (Shoot; NY / February, 2017)
Wolfgang Volts (Photo)
企画展「『そこまでやるか』壮大なプロジェクト展」
Exhibition "GRAND PROJECTS: HOW FAR WILL YOU GO?"
2017年6月23日 - 10月1日
「Khadi インドの明日をつむぐ - Homage to Martand Singh - 」
"Khadi: The Fabric of India's Tomorrow- Homage to Martand Singh -"
岡本憲昭
Noriaki Okamoto
「Khadi インドの明日をつむぐ - Homage to Martand Singh -」展
Exhibition "Khadi: The Fabric of India's Tomorrow - Homage to Martand Singh -"
2018年4月18日 - 5月20日
「民藝 MINGEI -Another Kind of Art」
"MINGEI - Another Kind of Art"
岡本憲昭
Noriaki Okamoto
企画展「民藝 MINGEI -Another Kind of Art展」
Exhibition "MINGEI - Another Kind of Art"
2018年11月2日 - 2019年2月24日
「起き上がるカブトムシ」
"Affordances of Beetle Rolling Over"
岡 篤郎(映像)、佐々木正人(監修)
Tokuro Oka (Movie), Masato Sasaki (Exhibit Supervision)
企画展「虫展 −デザインのお手本−」
Exhibition "Insects: Models for Design"
2019年7月19日 - 11月4日
ギャラリー3では2020年2月、「NO PROBLEM store @ 21_21」を開催しました。
NO PROBLEMは、日用品などの製造過程で必ず生まれてしまう、十分使えるのに正規品と同じ価格で販売することができないB品を、「NO PROBLEM(問題なし!)」として受け入れるプロジェクトです。これまで、展示会やタブロイドの出版などを通じ、つくり手、売り手、使い手である消費者が一緒になって、正規品とB品の基準を捉え直す機会を生みだしてきました。
NO PROBLEM storeは、これまでB品として扱われていた使用上問題のないものを、NO PROBLEM(NP)品として定価で販売する試みです。プロジェクトに賛同したVISION GLASS JP、SIWA|紙和、うなぎの寝床、tamaki niime、MARUGO、Awabi wareのほか、21_21 DESIGN SIGHT SHOPのNP品がギャラリー3に並びました。
会場では、各製品の検品基準を、参加ブランドの声とともに丁寧に解説するほか、NO PROBLEMプロジェクトのこれまでの歩みを、スライドショーで紹介。NP品のお買い物を楽しみながら、その考え方にも触れることができるプログラムとなりました。
ギャラリー3では、2月14日まで、「Hacoa Exhibition & Shop 木工とチョコレートの関係」が開催されています。
1500年の歴史を誇る越前漆器の産地・福井県鯖江市でうまれた木製デザイン雑貨ブランドHacoa(ハコア)は、伝統工芸品の産地が衰退を続ける中、技術継承と後継者問題を解決したい、という想いのもと、日々ものづくりと真剣に向き合っています。
多くの若者たちが、「ここで働きたい」と全国から田舎に移住してくる理由は、「変えてはいけないもの、変えるべきもの」を見極め、進化し続けるものづくりへの実直な姿勢に共感してくれるから。
そんなHacoaが、今、なぜ、チョコレートをつくるのか? ブランドの歴史や商品開発のプロセス展示、販売とワークショップを通して、その理由を解き明かします。ぜひご来場ください。
2019年11月10日、ギャラリー3では、「星筐~循環する四季の庭」が開催されました。
「星筐」は、「響の宇宙から聴く者それぞれが音の星座を見出すこと」をコンセプトとする音楽作品の創作を発端とし、種子島千座の岩屋や京都清水寺など、各地で星の巡りに即した一期一会の時間を紡ぎ出すプロジェクトです。
今回は、ギャラリー3を都会の洞窟に見立て、雅楽の楽器である「笙」と、超指向性スピーカーを含む立体音響システムにより、空間そのものを楽器化する試みを行いました。
当日は、南中(11時43分)と日没(16時39分)の2回にわたり、雅楽の古典曲「季節の調子」をはじめ、武満 徹「四季 SEASONS」の画像解析によるAIヴァージョンを初公開。また、呼吸するメディアとしての笙の可能性を追求する東野珠実の自作「まばゆい陽射しを仰ぎ見て」、気鋭の現代作曲家 藤倉 大の新作「帯 Obi for Sho and Electronics」の世界初演を通して、古代から未来まで、多様な光と響の庭を巡るような趣向が凝らされました。
高谷史郎(音響オブジェ)、zAk(音響デザイン)、矢坂健司(AIプログラミング)ら一流アーティストとのコラボレーションによって浮かび上がった前代未聞の音響空間は、どなたでも自由にお楽しみいただけるインスタレーションとしても解放され、まさに一期一会の、特別な一日となりました。
ギャラリー3では、2019年10月31日から11月4日まで、「2019年度ロングライフデザイン賞受賞展」が開催されました。
グッドデザイン・ロングライフデザイン賞は、長年にわたりユーザーからの高い支持を得て、今後もその価値を発揮し続けるであろうと考えられるデザインを顕彰する賞です。新しいことが尊重される傾向があるデザインの領域において、変わらないことや、継承・伝承することの意義に目を向けた、国際的にもユニークな賞として注目を集めています。この賞が大事にしているのは、「デザインが私たちの暮らしを豊かに支え、日常の風景の一端を形づくってきた」という考え方です。
本展では、アリンコチェアからラジオ体操まで、その最新の受賞作15点を紹介し、私たちの生活に欠かすことのできないアイテム、偉大なマスターピース、誰もが親しんできたプログラムなど、さまざまな分野で長く愛されるデザインの魅力をお伝えしました。東京ミッドタウン内各所で展開された「2019年度グッドデザイン賞受賞展 GOOD DESIGN EXHIBITION 2019」、ギャラリー1&2の「虫展 −デザインのお手本−」最終日とともに、多くのお客様で賑わう週末となりました。
ギャラリー3では、10月20日より「Google Design Studio | comma」が開催されています。
間があること、思考すること、詩的になること、そして繋がること。comma(カンマ)と名付けられた、誰の日常にもあるこれらの瞬間は、Google Hardware Design Studioが表現する新しい展示のテーマです。本展では、トレンド予測のパイオニア リドヴィッチ・エデルコートがセレクトした黙想的なインスタレーションとともに、いかにテクノロジーが人々の暮らしに溶け込んでゆくのかを探求しています。
会場では、伝統ある陶芸品、おもちゃや家具、そしてGoogleの新しいプロダクトがデザインピースの一部となり、ありのままの日常とハードウェアの調和をもたらします。その背景に飾られるのは、オランダ人デザイナーINAMATTがアンティークのリネンの切れ端を使って制作した壁掛け。それは生地を継ぎ、縫い合わせながら使い続けるという、日本古来の伝統を彷彿とさせるものです。アトリエコーナーではGoogleデザインのインスピレーションのもとやプロダクトを展示し、直接手に触れていただけるようになっています。
多くのデザインイベントで賑わう東京の中心でcommaに触れ、ゆっくりと考える時間をお楽しみください。
Photo: Hiroto Miura
ギャラリー3では、10月14日まで、カルティエ主催による「LES MOMENTS CARTIER - ART DE FAIRE カルティエが魅せる職人技」が開催されています。
ジュエリーや時計制作のための普段見ることのできない道具、そしてカルティエのクリエイションの源となる400以上の"石"に囲まれた、アトリエのような雰囲気の会場内に職人が滞在し、制作の様子を常時ご覧になれます。
本イベントのために、フランス文化省から「メートルダール」に認定されたグリプティシアン(宝石彫刻師)であるフィリップ・ニコラが来日し、グリプティックの技を特別に披露しているほか、マルケトリ(寄木細工の一技法)の職人たちのデモンストレーションもご覧になれます。
カルティエのクラフツマンシップをぜひ体験してください。
ギャラリー3では、9月23日まで、株式会社Mizkan Holdings、株式会社ZENB JAPAN主催による「野菜とデザイン」が開催されています。
本展では、人がまだ気づいていない野菜のぜんぶについて、野菜が持っている機能美から栄養、おいしさまでデザインの視点で切り取った、「ZENB」の世界が体験できます。
「ZENB」は、ミツカンが人と社会と地球の健康を考え立ち上げた新ブランドです。野菜を、普段食べずに捨てている部分まで可能な限りまるごといただく、ZENB商品の試食とともに商品の販売も行っています。
「食べる」の、ぜんぶをあたらしく。東京ミッドタウンの複数のレストランで実施中のメニューコラボとあわせて、ぜひZENBの世界を体験してください。
2019年8月1日より、ギャラリー3では「TUKU IHO 受け継がれるレガシー」が開催中です。
本展では、ニュージーランド・マオリ芸術工芸学校の教員や学生が制作したマオリの伝統芸術や現代アート作品を展示しています。展示されるタオンガ(宝物)は、石材、骨、ポウナム(グリーンストーン)の彫刻や木材彫刻、織物、青銅細工など、50点以上に及びます。
また、8月14日までの開館日には、毎日会場内で彫刻の制作実演が行われるほか、東京ミッドタウンのコートヤードにて、カパ・ハカグループによる歌や踊りのパフォーマンスも披露されています。
本展は、人種や文化の異なる世界中の人々にマオリ文化を共有し、文化交流を図りながら、民族のアイデンティティや伝統について幅広い観点から議論する機会を提供することを目的にしています。
会期は8月31日まで。ギャラリー1&2で開催中の「虫展 −デザインのお手本−」とあわせて、ぜひご覧ください。
2019年1月19日、ギャラリー3にて「OBI KONBU」展が始まりました。
会場に入ると、鮮やかな21色のトートバッグが目に入ります。その質感からKONBUと呼ばれるこのバッグは、特殊な複数の細い糸で編み上げた大きなバッグを、1/4に縮ませた後に染色するという、独自の製法により生み出されたものです。
編立から整形に至る製造工程を短い映像で観ることができるほか、各プロセスのサンプルを実際に手に取って、その独特の手触りを感じることができます。
奥のコーナーには、平面にたたまれた時の形状からOBIと名付けられたリュックとトートバックが展示されています。これは、熱を加えることで硬化する特殊な糸を用いたジャージ素材をバッグの形に裁断縫製し、折りたたんで熱プレスをかけたものです。
バッグを構成するすべてのパーツを解体したパネルとリズミカルな映像で、構造の新しさとユニークさを観ることができます。
常にリサーチと研究開発を重ね、素材からものづくりを始める三宅デザイン事務所(MIYAKE DESIGN STUDIO)の最新作を、ぜひ会場でご覧ください。
2018年12月14日、ギャラリー3で「民具 MINGU展」が開幕しました。
「民具」という言葉は、昭和初期、民俗学者の渋沢敬三によってつくられました。これは、柳 宗悦らによる民藝運動が始まった時期に重なります。
一方、1980年に誕生した「無印良品」は、人々の生活の必要に駆られてつくられる、現代の民具でありたいという思いで活動を続けています。
会場では、出雲、新庄、日高村など、日本各地から集められた江戸期をはじめとする貴重な民具の数々を、無印良品の製品と対比するように展示しています。
民具や民藝が生まれた時代に比べ、豊かになった現代の消費社会の中で、本当に必要なものは何か。グローバル化やデジタル化が急速に進む世界の中で、誠実なものづくりとは何か。
ギャラリー1&2で開催中の「民藝 -Another Kind of Art展」とあわせ、未来について考え、感じる展覧会です。
2018年10月31日より、ギャラリー3では「新・ケータイ INFOBAR 展」を開催しています。
MoMA(ニューヨーク近代美術館)のパーマネントコレクションにも選出された深澤直人デザインによるINFOBARは、現代生活に不可欠となった携帯電話に新たな息吹を与え、人々のライフスタイルを楽しく彩ってきました。
初代モデルの発売15周年を記念した本展では、最新機種INFOBAR xvの実機をご体験いただけるほか、深澤直人によるスケッチやコンセプトモデル、図面やモックアップなどの貴重な資料を通して、様々な技術的課題をクリアしていく製造のプロセスやかたちそのものの美しさ、ユーモアにあふれたコミュニケーションデザインをご覧いただけます。
また、21_21 DESIGN SIGHT SHOPでは、本展にあわせてトートバッグやTシャツなどのオリジナルグッズも販売。ギャラリー1&2で開催される深澤直人ディレクション「民藝 MINGEI -Another Kind of Art展」とあわせて、懐かしくも斬新なかたちの数々に、ぜひ触れてください。
2018年10月26日、「SONIA RYKIEL GENEROUS SWEATERS」が開幕しました。
本展では、ブランド50周年を迎える今年、アーティスティックディレクターに就任したジュリー・ドゥ・リブランが、世界的な表現者である7名の女性とともにメゾンの象徴でもあるニットデザインに取り組み、その収益を女性援助に焦点を当てた活動に寄付するというプロジェクトを紹介しています。
参加者の一人である建築家の妹島和世は、日本古来の装いのひとつ「十二単」を題材に、7層で構成された薄く、軽いテクニカルニットの衣服をデザイン。半透明の素材は、着る人の重ね方によって、思いがけない色合いを生み出します。
浮遊感や透明感のある妹島の建築を想起させる、中に人が入ることで多様な表情を見せてくれるデザインです。
開幕に先立ち会場を訪れた妹島は、ジュリー・ドゥ・リブランとの協働のプロセスそのものを心から楽しんだと語りました。
妹島がチャリティに選んだのは「おかえり!ご飯食堂」。日本の日立市を拠点に、働く母親やシングルマザーとその家族のために、無料の食事などの支援を提供する活動です。
女優、建築家、モデル、アーティスト、ダンサーなど、様々な表現活動の第一線で活躍する女性たちによる、ニットを通したデザインのコラボレーションとチャリティ活動。
それぞれのデザインと社会との関わり方を、ぜひ会場でご覧ください。
ギャラリー3では現在、「WAKU WORK ―津森千里の仕事展―」を開催しています。
10月15日には、デザイナーの津森千里とスタイリストの島津由行によるトークショウも行われました。
デザインの仕事を始めて40年近くになるという津森は、自身の「好き」という気持ちや直感を大切に、旅や空想の世界からインスピレーションを得て、限りなく自由で生き生きとした衣服を生み出してきました。
展示空間をぎっしりと埋め尽くす遊び心に満ちた色とりどりの作品群からは、津森自身のつくることへの喜びと、感謝の気持ちが伝わってきます。
会場では、津森の私物や直筆のデッサン、プリントの原画などの貴重な資料も展示するほか、今年Rizzoliから出版された224ページに及ぶ大著「TSUMORI CHISATO」や80年代の「I.S. chisato tsumori design」の復刻商品も限定販売。夢と愛にあふれた「ツモリワールド」を存分にお楽しみいただけます。
津森はトークの中で、ブランド発足当時のコンセプトが今も変わらないと語りました。それは、「年齢にも 職業にも 何にもとらわれない 着たいものを 着たい時につくる 何よりも大切にしたいのは 素直に表現すること」。
自分の「好き」を迷いながらも追求することで「自分らしさ」がみつかる。
ものづくりに携わる人々に勇気とエールを送る、パワフルな展覧会です。
ギャラリー3では、2018年9月9日まで「ヒロシマ・アピールズ展」を開催しています。
原爆の記憶を絶やすことなく、平和を希求する想いを広く伝えようと、日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)とヒロシマ平和創造基金、広島国際文化財団が行っている「ヒロシマ・アピールズ」。純粋に中立な立場から「ヒロシマの心」を訴えるポスターを毎年一名のグラフィックデザイナーが制作し、国内外に頒布する活動を続けています。
本展では、その第1回となる1983年に制作された亀倉雄策(1915-1997)の『燃え落ちる蝶』より今年度の服部一成(1964-)『疑問符、2018』まで、全21作品を紹介。さらに、13歳のときに被爆し、平和への願いを込めた100枚のポスター制作に挑んだ広島出身のデザイナー、片岡 脩(しう)(1932-1997)の作品も特別展示しています。「生きて、子どもたちへ、さらに世代へと伝えたいことがある」と記していた片岡は、65歳で他界するまで、72点のポスターを制作しました。
デザインによって伝えられる鮮明なメッセージ。ヒロシマの記憶と未来への願いについて、多くの方々と考える機会となれば幸いです。
ギャラリー3では2018年6月2日より「TRAVEL TRAVEL(LER)」が開催されています。
フランスのショコラティエ パトリック・ロジェは芸術家としての顔も持ちます。パトリック・ロジェ・スカルプチュアが主催する本展は、彼の日本での初めての展覧会です。TRAVELS TRAVEL(LER) には「空想しながら鑑賞する」という意味が込められています。
ロジェの作品の世界と鑑賞者をつなぎ、対話を促すリナ・ゴットメによる展示デザインも本展のみどころのひとつです。ゴットメは東京国立博物館で開催された『フランス人間国宝展』での空間演出やエストニア国立博物館の設計で注目されている建築家です。
研ぎ澄まされた感性と創造性への情熱を投影した彫刻作品をお楽しみください。
Photo: Nacása & Partners Inc.
2018年5月25日より、京都を中心とする東西の人や文化を繋げていくコミュニケーションスペース ISSEY MIYAKE KYOTOのKURA(蔵)にて「Khadi インドのものづくり - Homage to Martand Singh -」が開催されています。
インドの人々にとって象徴的な織物、カディ(KHADI)。
インド・テキスタイルなどの幅広い文化復興活動で知られるマルタン・シン(Martand Singh、1947-2017)は、「独立、雇用、死生、創造」という観点からカディを「自由の布」と呼びました。
イッセイ ミヤケでは1980年代から続くクリエイションの継続を通し、インド文化との対話ともいえる衣服づくりを行ってきました。その対話は、テキスタイルから発想するブランドHaaTの中で、今日も継続しています。
この特別展示では、21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3で2018年4月から開催した「Khadi インドのものづくり - Homage to Martand Singh -」展より一部の展示をふたたびご覧になることができます。
ISSEY MIYAKE KYOTOのショップデザインを手がけたのは、21_21 DESIGN SIGHTディレクターの一人でもある深澤直人。歴史ある町屋とISSEY MIYAKEのものづくりが調和する空間で、インドのものづくりに宿る精神と息吹をご体感ください。
2018年5月23日、ギャラリー3では「HAY 5 DAYS LIMITED STORE」がオープンしました。
HAYは2003年にデビューしたデンマークのインテリアプロダクトブランドです。北欧デザインというカテゴリーにこだわらず、インターナショナルな視点を持ち、家具、インテリアアクセサリーからデコレーションアイテム、ステーショナリーなど、ライフスタイル全体をコーディネートすることができるコレクションを展開しています。
「HAY 5 DAYS LIMITED STORE」では、デザイン性の高い小物から人気の家具まで、幅広いアイテムを手にとってご覧になることができるほか、職人の手によってHAYのプロダクトがつくられる様子を映像でご紹介しています。
2018年5月11日、「Khadi インドの明日をつむぐ - Homage to Martand Singh -」展に関連して、「皆川魔鬼子によるギャラリートーク」を行いました。
トークには、本展企画監修を担当した皆川魔鬼子と、21_21 DESIGN SIGHT アソシエイトディレクターの川上典李子が登壇しました。
カディを含めたインド・テキスタイルなどの幅広い文化復興活動で知られるマルタン・シン。最も素朴で綿そのものの白を活かしたカディは、インドと繊維の原点として世界中に知られています。
皆川はインドのテキスタイル文化において、50年の長き歴史に渡りテキスタイルの開拓、展示、遺産保全に取り組んだマルタン・シンの功績は大きいと解説します。
本展では、マルタン・シンの身体に沁み込むような言葉とともに、つくり手そのままの表情を見せるカディとその思想を紹介しています。
本展でもその様子を収めた映像を展示していますが、ガンディが過ごしたアーメダバッドでは、大学の全校生徒が集まる朝礼でチャルカを回しながら瞑想をする時間が設けられています。
糸車をまわすガンディの肖像や写真が示すように、カディはインド独立のシンボルとして知られ、現在でも人々の精神に深く根付き、生活の基本になっています。
イッセイミヤケでは、1980年代からインド文化と対話しながら衣服づくりを行ってきたと語る皆川。現在ではブランドHaaTの中で、カディを取り入れ、継承しています。
皆川は日本の伝統についても触れ、継承しながら活用することの素晴らしさを改めて実感するトークとなりました。
2018年4月18日、ギャラリー3にて開幕となった「Khadi インドの明日をつむぐ - Homage to Martand Singh -」展に関連して、「展覧会チームによるギャラリートーク」を行いました。トークには、本展にまつわるテキストを担当した森岡督行と、インドの現地で映像を撮りおろし制作した岡本憲昭、企画構成を務めた前村達也(21_21 DESIGN SIGHT)が登壇しました。
登壇者の3人は本展のためにインドへ渡航し、マルタン・シンの活動を支えてきた人々やカディにまつわる様々な風景を取材してきました。トークでは、取材中のスナップ写真を紹介しながらその様子を語り、それぞれ印象に残ったエピソードを語りました。
晴天となった当日、トークの前半はギャラリー3の外で行われました。展覧会を訪れた人々が少しずつ加わり、トーク会場は徐々に賑わいを増していきました。後半には、ギャラリー3の中で実際の展示に触れながら、展覧会の解説が行われました。
2018年4月18日、21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3にて「Khadi インドの明日をつむぐ - Homage to Martand Singh -」展が開幕となります。
簡素で美しい生活様式やテキスタイルをはじめ、今日でも手仕事による技法や歴史、文化が色濃く継承されているインド。なかでも「カディ(Khadi)」と呼ばれる綿布は、ものづくりのオートメーション化が著しい近年も、手紡ぎ、手織りによってインド各地でつくられています。
インド・テキスタイルなどの幅広い文化復興活動で知られるマルタン・シン(Martand Singh、1947-2017)は、インドの独立、雇用、死生、創造という観点からカディを「自由の布」と呼んでました。
本展では、つくり手そのままの表情を見せるカディとその思想を、マルタン・シンの活動の根幹を担ってきた人々を現地で取材した映像とともに紹介します。インドのものづくりに宿る精神と息吹をご体感ください。
写真:吉村昌也/Photo: Masaya Yoshimura
21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3では2018年3月3日から「thinking tools. プロセスとしてのデザイン― モダンデザインのペンの誕生」が開催されています。
バウハウスデザインのドイツのペンブランド、LAMYによるペンのデザインの過程に焦点を当てた本展。
LAMYを代表する様々なペンのプロトタイプや製品開発の現場のワンシーンの展示に加え、世界に名を馳せるイラストレーター、クリストフ・ニーマンが本展のために手掛けたドローイングとインスタレーションで機能美のデザインの本質に迫ります。
本展は、2016年にドイツ・フランクフルトの応用工芸博物館での開催を皮切りとしたLAMYデザイン50周年を記念した世界巡回展です。
2018年2月21日、ギャラリー3にて「YUIMA NAKAZATO Exhibition - HARMONIZE -」が開幕しました。
着る人のためだけに仕立てられた究極の一点物の服を、世界中の人に届けたいと考えるYUIMA NAKAZATOは、「ユニット」と呼ばれるパーツを組み合わせて、縫製なしで衣服を創り上げる製法を開発しました。
本エキシビジョンは、21_21 DESIGN SIGHTのコーポレートパートナーでもある東レ株式会社が主催し、YUIMA NAKAZATOが2018年1月にパリ・オートクチュール・ファッションウィークで発表した最新コレクションとその生産システム、東レの環境配慮型人工皮革「Ultrasuede®PX」を使用した新プロダクトを紹介しています。
YUIMA NAKAZATOが想い描く未来の装いを、ぜひご体感ください。
Photo: Yasuyuki Emori
21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3では、2017年12月6日から25日までアルテック(Vitra株式会社)主催による「FIN/100」が開催されています。
2017年、フィンランドは独立100周年を迎えました。本プログラムでは、これまでと今のフィンランドデザインを牽引するブランドが一堂に会し、この記念すべき年を祝います。
会期中には、「100のできごと」と題し、デザイン、ファッション、音楽、教育、アート、経済、文学など幅広い分野のトークやワークショップ、大小さまざまなできごとが起こります。それらのできごとを通して、フィンランドの文化や生活、歴史や価値観に触れる機会を、ぜひお楽しみください。
Photo: Petri Artturi Asikainen
2017年12月2日、3日の2日間、21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3では、フィンランド・アアルト大学、多摩美術大学、フィンランドセンターとの共催により、交流プログラム「Discovery in Process」を開催します。
本プログラムは、アアルト大学デザイン学科ファッション専攻の学生と、多摩美術大学生産デザイン学科テキスタイルデザイン専攻の学生が作品を展示・発表する大学間のコラボレーション企画です。プロフェッショナルを交えたパネルディスカッションも行い、両国の相互理解と文化交流を深めます。また、両専攻で学び、現在東京で活躍するファッションデザイナーの黒澤秋乃が、コレクション展示とパネルディスカッションに参加します。
フィンランドと日本、それぞれの文化の中でデザインを学ぶ学生たちの成果とその交流を、ぜひご覧ください。
写真:木奥恵三/Photo: Keizo Kioku
2017年11月17日、ギャラリー3にてロエベ「インターナショナル クラフト プライズ」が始まりました。主催は、21_21 DESIGN SIGHTコーポレートパートナーでもあるロエベ ファンデーションです。
本展では、2016年に始まった国際的なコンテスト「ロエベ クラフト プライズ」の26名のファイナリストを紹介しています。モダンクラフツマンシップの真価が反映された彼らの作品には、文化遺産の継続的な構築において職人たちが担う役割の重要性を証明しています。
その中でも大賞を獲得したエルンスト・ガンペールは、現在ギャラリー1、2にて開催中の21_21 DESIGN SIGHT企画展「野生展:飼いならされない感覚と思考」でも、野生の魅力をもつ作家の一人として作品が展示されています。
ぜひ、2つの展覧会をあわせてお楽しみください。
2017年11月2日、ギャラリー3にて「吉岡徳仁 光とガラス」が始まりました。本展は、21_21 DESIGN SIGHTのコーポレートパートナーでもあるセイコーウオッチ株式会社が主催し、デザイナー 吉岡徳仁の創作の本質に迫る展覧会です。
自然をテーマにした詩的で実験的な作品によって、デザイン、建築、現代美術の領域で国際的に活動する吉岡徳仁。これまで吉岡は、光、音、香りなどの非物質的な要素を用いて観る人の感覚を揺さぶり、形の概念を超える独自の表現を生み出してきました。
本展では、光の表現に最も近い素材であるガラスに着目。人々の記憶や感覚の中に在る日本独自の自然観を映し出し、光とガラスから生まれる創作の本質に迫ります。
会場では、代表作である「Water Block - ガラスのベンチ」から最新作の「Glass Watch」までのガラスを素材とした作品や、プロジェクトを紹介する映像を展示しています。
吉岡徳仁による光を世界を、どうぞご覧ください。
写真:吉村昌也/Photo: Masaya Yoshimura
2017年10月7日、ギャラリー3にて「安藤忠雄 21_21の現場 悪戦苦闘」が始まりました。
本プログラムは、国立新美術館で開催中の「安藤忠雄展―挑戦―」に連動し、安藤忠雄の設計による21_21 DESIGN SIGHTの建設プロセスに焦点を当てています。
安藤による建築の初期アイデアやスケッチと、それを実現する日本の優れた技術力と職人の緻密な技を建設現場の写真や映像で紹介します。さらに、2007年の完成以来、10年間の21_21 DESIGN SIGHTの活動を紹介する映像も展示しています。
また、21_21 DESIGN SIGHTの建築に関連するオリジナルグッズをはじめ、安藤忠雄に関する書籍などを揃えたショップも、期間限定で登場します。ぜひ、「安藤忠雄展―挑戦―」とあわせて、足をお運びください。
写真:木奥恵三
シンガポールのマーライオンやニューヨークのコロンブス像などを取り込んでホテルやリビングルームを建設し、公共空間にプライベート空間を出現させる西野 達。本展では、21_21 DESIGN SIGHTの建築の中に新作インスタレーション「カプセルホテル21」を制作しました。「実現不可能性99%」の制作風景を、写真とともにお伝えします。(写真:木奥恵三)
「『そこまでやるか』壮大なプロジェクト展」のメインビジュアルで謳われている「実現不可能性99%」とは、西野 達がこれまでに発案してきた数々のアイデアの実現の難しさを表現した言葉です。そんな西野が今回挑戦したのは、21_21 DESIGN SIGHTに新しくオープンしたギャラリー3の中に、「六本木のど真ん中に突如として出現したアートホテル」を制作することでした。
下見のために会場を訪れたとき、等間隔に仕切られたギャラリーの窓を見て、その幅にあわせてベッドが並ぶカプセルホテルのアイデアが浮かんだという西野。ホテルに不可欠なベッドにはテレビ番組を観られる設備を整え、シャワー室も設置、さらにホテルの装飾のように自身の写真作品や新作彫刻も展示することとなりました。
会場設営は、西野が信頼する施工チームとともに進められました。まず単管や木材でフレームを組み立てると、発泡スチロールと発泡ウレタンで個室を仕切っていきます。
会場で作業をする西野。ホテルの中に展示する彫刻作品の制作も現場で行います。右の石膏像たちはコラージュされ、シャンデリアのように吊るされることとなりました。
「実現不可能性99%」から始まり、ついに実現した「カプセルホテル21」。建築家 安藤忠雄が設計した21_21 DESIGN SIGHTの建築の中から、ミッドタウン・ガーデンの緑をのぞむことのできる、異例の「カプセルホテル」です。
会場では、来場者が作品のベッドにも自由に出入りすることができます。ぜひ足をお運びください。
いよいよ明日開幕となる「『そこまでやるか』壮大なプロジェクト展」。開幕に先駆け、会場の様子をお届けします。
つくることの喜びとともに、「壮大なプロジェクト」に向けて歩みを進める表現者たち。彼らの姿勢には、さまざまな困難に立ち向かう強い意志と情熱があります。本展には、世界各国からダイナミックな活動を行うクリエイターたちが集います。
本展では、制作過程のアイデアスケッチやドキュメント、実際の作品で使用した素材、新作インスタレーションを展示し、より直感的に身体で作品を楽しむことができます。
展覧会ディレクターに建築やデザイン、アートなど幅広い分野に精通するライターでエディターの青野尚子を迎え、クリエイションが持つ特別な力と、そこから広がっていく喜びを伝えます。
21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3で初めての企業プログラムとして、2017年5月30日より開催となる「ストレッチ!展 - TOREX Primeflex -」。
21_21 DESIGN SIGHTのコーポレートパートナーでもある合成繊維メーカー、東レ株式会社と、これまでの企画展に携わったクリエイターたちによる企画チームとの協働により、ストレッチテキスタイル「Primeflex」の特性とその世界観を伝える展示です。
ここでは、その制作の過程を、一部ご紹介します。
5月中旬のある日、主催者である東レ株式会社の担当と、企画チームが、ギャラリー3で展示に向けた打ち合わせを行いました。会期も目前とあって、実際の会場、実際に展示するテキスタイルのサンプルを使って、細かなところまで顔をあわせて話し合いました。
こちらは、会期直前の設営の様子です。アートワークを担当する寺山紀彦(studio note)、展示構成を担当する熊谷彰博、展覧会グラフィックを担当する山野英之(TAKAIYAMA inc.)が、それぞれの視点で細かなところまでチェックしていきます。
「日常のなかにあるもの」「違和感のあるもの」「触れて楽しいもの」「身体を伴うもの」をコンセプトに、東レのストレッチテキスタイル「Primeflex」の特性と世界観を伝える展示は、まもなく開幕です。
2017年5月25日、26日の2日間、21_21 DESIGN SIGHTギャラリー3では、交流プログラム「ECAL×TAMABI in 21_21 DESIGN SIGHT Gallery 3」を開催しました。
ギャラリー3で初めて開催する交流プログラムとなったこの企画は、スイスのローザンヌ美術大学(ECAL)工業デザイン学科の学生達と、多摩美術大学生産デザイン学科プロダクトデザイン専攻と同学科テキスタイルデザイン専攻の学生達とのコラボレーションにより行われました。ECALの学生達が、足利と東京での研修中に取り組んだものづくりの成果を、多摩美術大学の学生達とともに展示、25日の夕方には、会場内でディスカッションを行いました。
ディスカッションでは、はじめに本プログラムの主催であるECALと多摩美術大学が、それぞれ大学について、普段のカリキュラムについて、紹介します。また、tempo(mother tool)+DRILL DESIGNの協力による今回のプロジェクトについても、紹介されました。
続いて、ゲストスピーカーの熊野 亘とダヴィッド・グレットリが登壇し、まずは自身の仕事を紹介しました。その後、ECALより3名、多摩美術大学より4名の学生達とともにディスカッションを行いました。学生達もスイスと日本、それぞれの文化や教育、デザインについて、活発に意見を交わしました。
学生達の熱気ある様子に、ギャラリー3に立ち寄った来場者の中からディスカッションに聞き入る人々も加わり、活気あふれる会となりました。
写真:木奥恵三
21_21 DESIGN SIGHTは2007年3月に開館しました。
開館の背景は、創立者である三宅一生が、1980年代、イサム・ノグチ、田中一光、倉俣史朗、安藤忠雄らとともに、日本におけるデザインミュージアムの重要性について語りあったときに遡ります。
その熱い想いはそのままに、生活を豊かに、思考や行動の可能性を拡げるデザインの役割を、探し、見出し、つくっていく拠点となりました。
ディレクターは、デザインの現状、制作の現場をよく知るデザイナーの三宅一生、佐藤 卓、深澤直人。アソシエイトディレクターはジャーナリストの川上典李子です。これまでに34の展覧会を開催し、デザインの視点から、生活、社会、文化について考え、世界に向けて発信し、提案を行なってきました。そして10周年を機に、佐藤 卓が館長に就任します。
2017年3月31日には、新たな活動拠点「ギャラリー3」を開設します。ここでは、世界各国の企業をはじめ、教育・研究・文化機関等との密な連携によって、実験的なプログラムに取り組んでいきます。誰もが自由にデザインに触れられるスペースが拡がります。
21_21 DESIGN SIGHTは、今日までの歩みを大切に、「デザインの視点でさらに先を見通す」活動を続けていきます。
21_21 DESIGN SIGHT opened in March 2007.
The story behind the opening of 21_21 DESIGN SIGHT goes back to the 1970s, when its Founder Issey Miyake started to discuss the importance of establishing a design museum in Japan with Isamu Noguchi, Ikko Tanaka, Shiro Kuramata, and Tadao Ando. 21_21 DESIGN SIGHT sprang from that discussion and became a nexus from which to search, find, and create the ongoing role of design. Design is a process that enriches life and expands the potential for thoughts and actions.
The Board of Directors is comprised of Issey Miyake, Taku Satoh, and Naoto Fukasawa, three designers who are well acquainted with the contemporary status of design and the creative scene; and journalist Noriko Kawakami who acts as Associate Director. 21_21 DESIGN SIGHT has introduced numerous ideas and proposed a variety of design solutions to the world through 34 exhibitions. Each exhibition opened a dialogue on our life, society and culture from design point of view. In honor of the 10th anniversary. Taku Satoh has been named as its overall Director.
On March 31, 2017, we will open Gallery 3. Here, we will implement experimental programs in close collaboration with corporations, schools and cultural institutions throughout the world. We wanted to expand our space so all could experience the power of design.
21_21 DESIGN SIGHT continues to evolve, treasuring the decade that is now behind it and always looking toward the future.
写真:吉村昌也
デザインを通して、日常のできごとやものごと、人びとの営みにかかわるさまざまなことを考え、世界に向けて発信し、提案を行なう場として、2007年3月に開館した21_21 DESIGN SIGHT。以来、34の展覧会を含むプログラムを開催、多くの方々に来場いただきました。
そして10周年を迎える2017年3月、開館以来の活動趣旨をさらに発展させていくため、新たな活動拠点「ギャラリー3」を開設します。
従来の「ギャラリー1」「ギャラリー2」(建物地下の2つの展示室)に続く、「ギャラリー3」では、デザインに触れるスペースとして広く一般の方へ開放するほか、デザイン関係者はもちろん、企業や教育機関、研究機関、各国の文化機関等との密な連携によって、展示やイベント、ワークショップなどさまざまなプログラムを共同で実現させていきます。
今春には「ギャラリー3」のオープニング企画として、10年間の活動をふまえつつ、デザイン、生活、社会の今後を考えるプログラムを予定しています。
2007年の開館から今日までの歩みを大切に、21_21 DESIGN SIGHTでは今後もさらに、デザインの視点で広く周囲に目を向けていく活動を継続していきます。
21_21 DESIGN SIGHT ギャラリー3
オープン:2017年3月31日
設計:安藤忠雄建築研究所
展示室:109.6㎡(天井高〜4.26m)
構造:RC造一部S造 地上1階